ミッドソール素材 ブランド別比較レビュー!

ランニングシューズに使われるミッドソール素材が注目される時代になってきました。

各メーカーが発表する、「新素材は従来の〜より◯%軽量で◯%反発性が高く〜」というプレスリリースをこう見て思ったことはありませんか?

みんな良いことばかり言ってるけど、結局どれがいいの?と

そんな声に答えるべく、忖度なしに各メーカーの素材比較をしてみました。

あくまでも個人的な感覚ですので、参考程度にお考えください。

EVAとポリウレタン

ミッドソールが搭載され始めた1970年代の初期の頃は、ラバースポンジをその素材に使用するのが一般的でしたが、ほどなくしてEVAとポリウレタンという2種類の合成樹脂が台頭します。

EVAはエチレンビニールアセテートの略で、軽量なのが特徴です。

ポリウレタンはEVAより重くはなりますが、よりクッション性と耐久性に優れた素材です。

登場以来、高機能なランニングシューズにはこれらの素材が使われることになりましたが、レースに使われるような軽量タイプのシューズにも使われるようになったのがEVAです。

NIKE(ナイキ)

ナイキのミッドソールは長らく「ファイロン」の時代でした。

後に「クシュロン」や「ルナロン」が登場し、近年では「リアクト」や「ズームX」が主流となってきました。

ズームXはヴェイパーフライ4%に搭載されたことで話題となった航空宇宙産業で使用する素材ですが、そもそもこの素材の出現によりミッドソールの素材が何であるかが話題になるようになったと感じています。

現在ではナイキをまねて軽量性と反発性を併せ持つ素材を各社が開発していますが、未だにズームXの優位性は揺るぎません。

Phylon(ファイロン)

EVAの1種で、長らく使われている優秀な素材がファイロンです。

ファイロンを使っているのはズームストリーク7などの軽量レーシングシューズや、ズームグラビティ2などの安価な練習用シューズです。

安価で軽量で高反発であることから、長い間使われてきました。

しかし、これらのファイロン使用モデルが廃盤になるのとともに、2021年以降のモデルではほとんど搭載モデルを見なくなりました。

Cushlon(クシュロン)

ファイロンの次に登場したのがクシュロンです。

これはファイロンの進化版であり、素材もファイロンに近いようですが、ファイロンより軽量で柔らかく、耐久性が高いのが特徴です。

ファイロンと比べて柔らかいのはもちろんですが、後に開発されるルナロンや現在でも主流のリアクトと比べても柔らかいです。

さらにクシュロンにはクシュロンSTとクシュロンLTという種類がありました。

STはソフトの略でLTはライトの略と思われ、より柔らかいSTと、より軽いLTの2種類です。

クシュロンSTが使われているナイキのズームランニングシューズは、現行モデルではなくなってしまいました。

ズームペガサス36はとにかくクシュロンSTの柔らかさがよくわかるシューズでしたが、37からリアクトに変更されました。

一方でクシュロンLTが使われているのは、ズームストリークLT4ズームエリート10といった軽量モデルです。

しかし、それらが廃盤になった2021年あたりからSTやLTという表記は消え、クシュロンという表記しかなくなりました。

表記が消えるのとともに、機能的にはそれぞれの劣る方(STの重さとLTの柔らかさ)になってしまった感じがします。

現在ではクシュロンはズームライバルフライ3ズームウィンフロー8などのコスパ系モデルにのみ搭載されています。

Lunarlon(ルナロン)

21世紀になってさらに進化したクッショニングシステムがルナロンです。

これは硬くて反発性のあるファイロンの中に柔らかいクシュロンを挟んだ技術です。

ルナロンはバスケシューズやゴルフシューズにも採用され、ランニングシューズとしてもルナグライドやルナスパイダーなど、これまでのズームシリーズとは別のルナシリーズが発売されます。

ところが今となっては後発のリアクトフォームが開発されたこともあってルナロンはほぼ淘汰されました。

ルナロンクッション自体はルナシリーズだけでなくズームシリーズなどにも提供されていました。

ズームボメロ13や初代ズームフライなどがルナロンでしたが、どちらも後継シューズ(ズームボメロ14・ズームフライ フライニット)にはリアクトが採用されています。

このことから、ルナロンよりリアクトの方が性能的に上という印象を受けます。

実際に履いた感触としても、反発性のファイロンと弾力性のクシュロンと比べて、ルナロンはどっちつかずの印象です。

以前からあったファイロンやクシュロンの方が後発のルナロンより長生きしたのはそのためでしょう。

React(リアクト)

ファイロン・クシュロン・ルナロンがEVAなのに対し、ポリウレタン系のミッドソールとして新しく誕生したのがリアクトです。

ポリウレタンはEVAより重いものの、クッション性と耐久性に優れています。

それ故にこれまでシリアスランナー向けシューズにはEVA素材が一般的でした。

リアクトは他のポリウレタン系素材と比べると反発性が強いのが特徴です。

また、耐久性があるため、長く使っても反発やクッションが落ちづらいのが長所です。

ただ、EVAのファイロン・クシュロンと比較すると、重さはリアクトの方があり、反発はなく耐久性は上、クッションはファイロンよりあってクシュロンよりないというのが私の印象です。

リアクトはクッション系シューズのリアクトインフィニティランフライニット3の他、オールラウンドタイプのズームペガサス39や、レースにも使えるエアズームテンポの一部(ズームX併用)にも搭載されています。

ズームフライは初代がルナロンソールで、2代目のズームフライ フライニットからズームフライ4までがリアクトソールになりました。(ズームフライ5はズームXとSR-02)

リアクトを使ったズームフライシリーズ(フライニット・3・4)は反発力の強いシューズですが、これはリアクトの力より、リアクトソールに挟んだカーボンファイバープレートの力ではないかと思います。

zoom X(ズームX)

ズームXは航空宇宙産業で使う新素材で、軽量でクッション性が高く、それでいて反発性も強いというナイキだけでなく他メーカーを含めても史上最高のミッドソールです。

現行モデルで使われているのはエアズームアルファフライネクスト%2ズームXヴェイパーフライネクスト%2ズームXストリークフライズームテンポネクスト%(リアクト併用)・ズームフライ5(SR-02併用)・エアズームボメロ16(SR-02併用)・ズームXインヴィンシブルランフライニット2と多種多様です。

ヴェイパーフライやアルファフライは厚底なのに非常に軽量で反発性も抜群に高いシューズです。

ズームXインヴィンシブルランはふかふかクッションの柔らかさが特徴です。

耐久性以外の弱点は見当たらず、クッション性・反発性・軽量性のどれをとっても最高の素材です。

SR-02

ジョイライドランフライニットやエアズームボメロ16(ズームX併用)・ズームフライ5(ズームX併用)で使われています。

柔らかさとクッション性はあるものの、反発性や軽量性に乏しく耐久性はあるという印象です。

ズームボメロ16やズームフライ5のようにズームXと組み合わせることで、ズームXの耐久性と安定性のなさを補完しているような印象です。

CMP010

ズームストラクチャー24のミッドソール(推測)です。

推測としたのは、CMP010についての記載が乏しく、明確にストラクチャー24のミッドソール名称だと記載されていないためです。

ズームストラクチャーは22まではファイロンとクシュロンの2層でしたが23からCMP010となりました。

ズームストラクチャー以外にCMP010を見ないので、このシューズでしか判断できませんが、感触としてはクシュロンに近く、クシュロンほどの反発性はないという感じです。

ナイキ ミッドソール まとめ

以上、ナイキのミッドソールについて書きましたが、反発性・クッション性・軽量性・耐久性を比較してみると私の感覚では以下の通りです。(CMP010はよくわからないため除きます)

反発性クッション性軽量性耐久性
ズームXズームXズームXリアクト
ファイロンSR-02クシュロンSR-02
リアクトクシュロンルナロンクシュロン
ルナロンリアクトファイロンルナロン
クシュロンルナロンSR-02ファイロン
SR-02ファイロンリアクトズームX

ただし、これはあくまでも私の感覚です。ミッドソール自体の厚さや密度、ズームエア・プレートの有無などにもよりますので、あくまでも参考程度にしてもらえればと思います。

なお、ナイキのシューズについてのレビューは「ナイキ ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ」の記事を参照してください。

asics(アシックス)

ナイキのヴェイパーフライ4%が発売されて以来、売上シェアでナイキに大きく水をあけられ2021年の箱根駅伝ではアシックスの着用者ゼロということで話題にもなりました。

2020年にアシックスで初めてのカーボンプレート入りシューズであるメタレーサーが発売されましたが、これは大コケでした。

これは反発性より軽量性が売りであるフライトフォームをミッドソールに使っていた影響も大きいでしょう。

しかし、2021年のメタスピードシリーズと2022年のメタスピードプラスシリーズの発売により、アディダスやミズノを突き放し、業界第2位の地位を確立しました。

これはメタスピードシリーズには反発性がありながらも軽量なフライトフォームブラストターボが搭載されたことが大きな要因と言えます。

SpEVA(スピーバ)

従来素材のEVA(エチレンビニールアセテート)とゴム毬のような特性をもった樹脂の配合設計により開発されたミッドソール素材です。

軽量さやクッション性より反発力を上げようという材料開発の流れから生まれました。

後のフライトフォームプロペルやフライトフォームブラスト開発につながる考え方です。

現行モデルではほとんど見なくなりましたが、ターサージャパンやスカイセンサージャパンなどのジャパンシリーズに使われています。

なお、ジャパンシリーズとはMADE IN JAPAN(日本製)のランニングシューズで、昔ながらのデザインとスペックのまま、アップデートすることなく細々と販売を続けているモデルです。

Solyte(ソライト)

SpEVA(スピーバ)のような高反発素材の開発ではなく、いかに軽量化するかという方向性の研究から生まれたのがSolyte(ソライト)です。

従来のEVAスポンジと比べると半分の軽さなのに衝撃吸収性は約20%アップという素材です。

しかし、Solyte(ソライト)はSpEVA(スピーバ)以上に現在では見ることはなくなりました。

それは、同じく軽量性を求めて開発されたフライトフォームの台頭によるためです。

FlyteFoam(フライトフォーム)

Solyte(ソライト)と同じくいかに軽量化するかという方向性の研究から2015年に生まれたのがフライトフォームです。

従来のEVAより約55%軽量化に成功し、2022年現在でも広く使われているミッドソール素材です。

このフライトフォームを使ったアシックス最初のカーボンプレート入り厚底レーシングシューズはメタレーサーです。

しかし、当時すでに流行していたナイキのヴェイパーフライに対して圧倒的に反発性で劣っていたこともあり、メタレーサーは全く流行りませんでした。

後にフライトフォームプロペルやフライトフォームブラストなどの反発系素材が開発され、レーシングシューズは反発性が重視される流れになりますが、フライトフォームは軽量さではそれらより上回っているため現在も生き残っています。

FlyteFoam Lyte(フライトフォームライト)

FlyteFoam Lyte(フライトフォームライト)は、セルロースナノファイバーという高機能素材を活用し、軽量性と耐久性を高次元で両立させたミッドソール素材です。

スポンジの気泡を補強する素材としてセルロースナノファイバーを使用することで、軽量性はそのままに強度を約20%、耐久性を約7%高めています。

FlyteFoam Lyte(フライトフォームライト)は、ゲルニンバス21やゲルカヤノ25、ダイナフライト3などに搭載されていました。

しかし、ゲルニンバスやゲルカヤノは次のモデルからミッドソールは再変更され、ダイナフライト3はすでに廃盤となってしまったため、現行では使われなくなった素材です。

「ライト」という名前のような軽量化はできなかったのと、耐久性うんぬんより反発性が重視されたことが、このミッドソールが廃れた要因だと考えられます。

FlyteFoam Propel(フライトフォームプロペル)

FlyteFoam Propel(フライトフォームプロペル)は、従来のフライトフォームより推進性・反発性に優れた素材です。

Propelとは「推進」を意味しています。

FlyteFoamの刻印の右側に、「まる書いてちょん」してあるマークがフライトフォームプロペルです。

フライトフォームプロペルは通常のフライトフォームより反発性に優れるものの重さがあるため、フライトフォームと併用されるケースも見受けられます。

ソーティーマジックRP6(フライトフォーム併用)・ライトレーサー4グライドライド3(FFブラストプラス併用)・GTー2000 10(フライトフォーム併用)などに使用されています。

FlyteFoam Blast(フライトフォームブラスト)

FlyteFoam Propel(フライトフォームプロペル)よりさらに反発弾性を高めた素材がFlyteFoam Blast(フライトフォームブラスト)です。

名称は長いため、ミッドソールには「FF Blast」と省略表記されています。

ノヴァブラストをはじめとするブラストビヨンドシリーズ(ノヴァブラスト・ダイナブラスト)で初めて搭載されました。

しかし、反発性はありながらも重さもかなりあるため、現在ではより軽量なフライトフォームブラストプラスに置き換えられるケースが見受けられます。

マジックスピードは初代のみ、ゲルカヤノは28のみの搭載で次作から置き換えられました。

ノヴァブラストは2までFFブラストでしたが、3からFFブラストプラスに置き換えられました。

2022年10月現在でFFブラストが搭載されているのは、ノヴァブラストと違って3でも変更がなかったダイナブラスト3と、モデルチェンジにより新しく搭載されたターサーRP3の2モデルです。

FlyteFoam Blast Turbo(フライトフォームブラストターボ)

フライトフォームブラストターボは、2022年10月現在でメタスピードシリーズにのみ使用されている最上級のミッドソールです。

正式名称はかなり長いので、「FF turbo」とミッドソールに刻印されています。

反発性という点にのみ着目すると通常のブラストの方があるような気もしますが、軽量性では圧倒的にターボが上です。

のちにFFブラストプラスというミッドソールが登場しますが、プラスとターボを勘違いして認識している人も多いようです。

FlyteFoam Blast Plus(フライトフォームブラストプラス)

2022年10月現在、ノヴァブラスト3マジックスピード2(フライトフォーム併用)・グライドライド3(フライトフォームプロペル併用)・ゲルカヤノ29(フライトフォーム併用)・ゲルニンバス24(フライトフォーム併用)と、新モデルに次々と投入されている素材です。

正式名称はかなり長いので、「FF Blast+」とミッドソールには刻印されています。

その特徴としては通常のFFブラストより軽量で、反発性はやや劣るものの、総合力では最上級のFFターボに次ぐ素材であることは間違いありません。

アシックス ミッドソールまとめ

アシックスでは上位モデルのほとんどで「フライトフォーム」シリーズが使われているため、正式名称が長いのがネックです。

現在ほぼ使われなくなったスピーバとソライトとフライトフォームライトを除いたフライトフォームシリーズのそれぞれの比較表を作成しました。

反発性クッション性軽量性耐久性
フライトフォームブラストフライトフォームブラストフライトフォームフライトフォーム
FFブラストターボFFブラストターボFFブラストターボフライトフォームプロペル
FFブラストプラスFFブラストプラスFFブラストプラスFFブラストプラス
フライトフォームプロペルフライトフォームプロペルフライトフォームプロペルFFブラストターボ
フライトフォームフライトフォームフライトフォームブラストフライトフォームブラスト

ただし、これはメーカー発表のものではなく私の感覚です。

ゲルやカーボンプレートの有無、厚さなどによっても変わってくるので参考程度にお考えください。

アシックスの最上級のミッドソールがフライトフォームブラストターボであることは間違いありませんが、フライトフォームブラストの方が反発性もクッション性も高い気がします。

ただ、それらはわずかな差ながら、重さは大きな差でターボの方が軽いため、バランス的には圧倒的にターボが上です。

なお、アシックスのシューズについてのレビューは「アシックス ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ」の記事を参照してください。

adidas(アディダス)

アディダスのランニングシューズは、「1秒でも速く走りたいランナーへ」向けたアディゼロシリーズを中心に構成されています。

かつてアディゼロシリーズではブーストフォームを使うのが一般的でしたが、現在ではライトストライクとライトストライクプロに置き換えられています。

ブーストフォームはアディゼロとは別路線のウルトラブーストシリーズで生き残っていますが、ウルトラブーストは22代も続くロングセラーモデルです。

その他、アディスターといった、これまでアディダスが弱かったジョグ専用モデルも発売され、じわじわ人気が出ている様子です。

Bounce(バウンス)

バウンスはアディゼロシリーズではあまり見なくなったミッドソールですが、スーパーノヴァという初心者向けのシューズで使われています。

バウンスは反発性ならライトストライクに劣りません。

クッション性もあります。

しかし、重さがあるためライトストライクが登場してからはライトストライクに置き換えられてしまった感じです。

アディゼロシリーズではベコジ2.0にバウンスが使われていますが、おそらくこのモデルは廃盤です。

廃盤でなくてもライトストライクに置き換えられることが推測されるため、アディゼロシリーズからは完全になくなりそうです。

boost(ブースト)

2013年に発表され、一世風靡したのがブーストフォームです。

エナジーブーストに初搭載されたブーストフォームは、タクミセンやタクミレン(現在は廃盤)などアディゼロシリーズのトップモデルにも搭載されました。

バウンスもブーストもクッション性・反発性の強い素材です。

比較すると、蹴り出す時に推進力を生むようなバウンスと違い、ブーストはいったん沈み込んで自然と前に押し出してくれるような反発性です。

しかし、ブーストもアディゼロシリーズからはほぼ姿を消し、ウルトラブーストシリーズとスーパーノヴァシリーズにて現在は生き残っています。

Lightstrike(ライトストライク)

ライトストライクはEVAと同じ素材でありながら、従来より40%の軽量に成功した素材です。

また、同じEVA素材であるバウンスよりも反発性にすぐれていると言われていますが、反発性に関してはそれほど大差がないという印象があります。

後に開発されるライトストライクプロより硬さはあり、反発性は劣るものの軽量性ではひけをとりません。

アディゼロRC4やアディゼロSL20.3には単独で使われています。

また、硬さもあって安定感があることから、反発性はあっても不安定なライトストライクプロと併用する形でアディゼロジャパン7アディゼロボストン11などのスピードトレーニング系定番シューズに搭載されています。

Lightstrike PRO(ライトストライクプロ)

クッション性・反発性・軽量性など全てをハイレベルで実現した低密度高反発ミッドソールです。

ライトストライクと名称は似ていますが、素材は全く異なります。

EVA素材で硬さのあるライトストライクに対し、ライトストライクプロは柔らかくて弾力のある別素材です。

アディダスの最上級モデルであるアディオスプロ3タクミセン8はもちろん、アディゼロジャパン7アディゼロボストン11(ともにライトストライク併用)にも反発性を高めるために搭載されています。

REPETITOR(レペティター)

クッション系シューズであるアディスターに搭載されているミッドソール素材です。

2022年10月現在、アディスター以外に搭載されているランニングシューズはありません。

クッション性はあり、軽く、反発性はあまりないのが特徴です。

REPETITOR+(レペティタープラス)

REPETITOR(レペティター)と同じくアディスターにのみ提供されています。

REPETITOR+(レペティタープラス)の方が硬くて安定するため、かかと周り全体を覆って安定性を高めています。

しかし、単独で使うには硬すぎるという気もするため、REPETITOR(レペティター)とセット使用限定になるかと思う素材です。

アディスター以外に使用されていないため、硬い以外の特徴はよくわかりませんが、広く使われることはなさそうな素材です。

アディダス ミッドソールまとめ

ナイキやアシックスと比べるとアディダスのミッドソールはわかりやすいです。

アディスターにのみ使われているレペティター・レペティタープラスを除く4つのフォームの比較表です。

反発性クッション性軽量性耐久性
ライトストライクプロライトストライクプロライトストライクライトストライク
ブーストブーストライトストライクプロバウンス
ライトストライクライトストライクバウンスブースト
バウンスバウンスブーストライトストライクプロ

最上級のミッドソールがライトストライクプロなのは言うまでもありません。

ライトストライクは軽量さと耐久性ではライトストライクプロを凌ぎます。

ブーストはその中間で、反発性とクッション性は高いものの重いのが欠点です。

なお、アディダスのシューズについてのレビューは「アディダス ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ」の記事を参照してください。

MIZUNO (ミズノ)

かつてのミズノはナイキ・アシックス・アディダスに並ぶ4強の一角という位置づけでしたが、今はナイキはおろかアシックス・アディダスにも大きく遅れをとっています。

その一番の要因はミッドソール素材の差です。

3強がそれぞれ独自の高反発素材「ズームX」「FFブラストターボ」「ライトストライクプロ」を有するのに対し、ミズノのトップモデルに搭載されているミッドソール素材は「ミズノエナジーライト」という反発より軽量さを売りにした素材です。

ミズノには「ミズノエナジーコア」という高反発素材もありますが、これは重量がありすぎます。

ミズノエナジーコアの反発を持ちつつミズノエナジーライトの軽量性を持つミッドソール素材が開発されなければ今後も勝負にならないでしょう。

u4ic(ユーフォリック)

ミズノエナジー開発前の主力ミッドソール素材です。

ミズノエナジーが世に出てからは、ほぼすべてのアップデートにおいてミズノエナジーに置き換えられています。

ミズノエナジーは、従来の素材より◯%UPしましたという表現がよくされますが、その「従来の素材」がu4icです。

Mizuno Enerzy(ミズノエナジー)

ミズノエナジーは、u4icより15%反発性が高く、17%柔らかさも増した素材です。

軽量さには公式サイトでも触れられていませんが、軽量性もu4icよりあると推察されます。

そのため、かつてu4icを搭載していたモデルは次々とミズノエナジーに置き換えられています。

フラッグシップモデルであるウエーブライダー26をはじめ、多くのモデルに搭載されています。

Mizuno Enerzy lite(ミズノエナジーライト)

ミズノエナジーライトはu4icより35%反発性が高く、22%柔らかさも増した素材です。

通常のミズノエナジーより反発性も柔らかさもあるのが特徴ですが、それでいて軽量です。

ミズノのランニングシューズのトップモデルのミッドソールは、ほぼすべてミズノエナジーライトで形成されています。(2022年10月現在)

使用モデルはウエーブデュエルプロ・ウエーブデュエルプロQTRウエーブデュエルネオ2・ウエーブデュエルネオ2エリートウエーブリベリオンなどです。

Mizuno Enerzy core(ミズノエナジーコア)

ミズノエナジーコアはu4icより56%反発性が高く、293%柔らかさも増した素材です。

その数字はトップモデルに使用されるミズノエナジーライトより高いですが、いかんせん重さがあるのが欠点です。

そのため、ウエーブスカイ6をはじめとしたクッション系シューズ(ウエーブリボルト2・ウエーブスカイネオ2・ウエーブスカイライズ3・ウエーブネオウルトラなど)に使われていますが、スピードを上げて走ることを目的としたトレーニング系シューズやレース用シューズには使われていません。

また、それだけ柔らかいだけに安定性も低く、いずれも安定性をもたせるためにミズノエナジーと併用で使われています。

ミズノ ミッドソールまとめ

従来の素材とされるu4icとミズノエナジー3シリーズを比較すると以下の通りです。

反発性クッション性軽量性耐久性
ミズノエナジーコアミズノエナジーコアミズノエナジーライトミズノエナジー
ミズノエナジーライトミズノエナジーライトミズノエナジーミズノエナジーライト
ミズノエナジーミズノエナジーu4icミズノエナジーコア
u4icu4icミズノエナジーコアu4ic

フラッグシップモデルであるウエーブライダー26はジョグ用モデルとして定評がありますが、トップモデルには競争力がありません。

前述しましたが、ミズノは軽量で反発性の高い素材がないため、厚底レーシングモデルの競争から脱落してしまっている感があります。

なお、ミズノのシューズについてのレビューは「ミズノ ランニングシューズ徹底レビュー! スペック・特徴まとめ」の記事を参照してください。

new balance(ニューバランス)

ニューバランスのランニングシューズは、大別してFuelCell(フューエルセル)シリーズとFresh Foam(フレッシュフォーム)シリーズがあり、その名称自体がミッドソールの名称です。

フューエルセルもフレッシュフォームも柔らかい素材です。

「弾むような反発」をコンセプトとし、「速く走る」ことを目的としたフューエルセルに対し、フレッシュフォームは「柔らかいクッション」をコンセプトとし、「長く走る」ことを目的としたシューズです。

これらに加え、薄底で軽量をコンセプトとし、すでに廃盤になったと思われるHanzo(ハンゾー)シリーズに使われているRevlite(レブライト)というミッドソール素材について解説いたします。

FuelCell(フューエルセル)

もっちりとした弾力性が特徴のミッドソールです。

吸収するような柔らかさを持つフレッシュフォームと違い、跳ね返って来るような弾力性を感じる柔らかさです。

シリーズすべてにこの素材が使われており、薄底タイプのレーシングモデルはフューエルセル5280、中底はフューエルセル スーパーコンプペーサー、厚底はフューエルセル RCエリートV2と、それぞれにレーシングモデルが存在します。

トレーニングモデルとしては超厚底のフューエルセル スーパーコンプトレーナー、やや薄底のフューエルセル レベルV3がラインナップしています。

一方でフューエルセル プロペルやフューエルセル プリズムなどのクッション系モデルも存在しましたが、こちらはその役目をフレッシュフォームシリーズに譲るためか廃盤になったと思われます。

Fresh Foam(フレッシュフォーム)

もともと海外では人気のあったシリーズですが、近年日本でも取り扱いが増え、じわじわ人気になってきました。

反発性や軽量性を求めたミッドソールが多い中で、ここまでクッション性と柔らかさを追求した素材がなかなかないためか意外とエリートランナーのリカバリーラン用などに人気が高まっているようです。

Fresh Foam X(フレッシュフォームX)

フレッシュフォームシリーズの日本での取り扱いは2021〜2022年でだいぶ増えてきた感じがします。

2022年10月現在のモデルはほとんどが通常のフレッシュフォームよりクッション性も軽量性も増したフレッシュフォームXが使われています。

中でも4代目となって初めて日本で発売されたフレッシュフォームモアV4は、柔らかいフレッシュフォームシリーズの中でも最も柔らかく厚いマックスクッションモデルです。

モアに続くクッション系モデルが1080シリーズです。

さらに1080より少しソールを薄くして下を硬くし、スピードを出しやすくしたのが880シリーズで、880にオーバープロネーション対策を施したのが860シリーズです。

Revlite(レブライト)

Revlite(レブライト)はハンゾーシリーズの初期モデルや下位モデルに使われた素材です。

反発性より軽量性に重点をおいたような素材です。

Revlite X(レブライトX)

レブライトXは従来のレブライトの上位版で、重量をそのままに反発性・クッション性を28%アップしたとされています。

しかし、搭載モデルが薄底しかないこともあって反発性やクッション性のアップ感はあまり感じられません。

ニューバランス ミッドソールまとめ

ニューバランスはミッドソール名がそのままシューズの名称になっていたりと他メーカーよりわかりやすいです。

Xのない通常盤のレブライトとフレッシュフォームを除く素材比較は以下の通りです。

反発性クッション性軽量性耐久性
フューエルセルフレッシュフォームXレブライトXフレッシュフォームX
フレッシュフォームXフューエルセルフューエルセルレブライトX
レブライトXレブライトXフレッシュフォームXフューエルセル

なお、ニューバランスのシューズについてのレビューは「ニューバランス ランニングシューズ徹底レビュー! スペック・特徴まとめ」の記事を参照してください。

ブランド間ミッドソール 比較

ここまではブランド別のミッドソール比較をしてきましたが、ここからは結局どのブランドのミッドソールが一番優れているかについて考察いたします。

各ブランドで最上級のミッドソール素材のみを対象としました。

最上級であるが故に優れていない「耐久性」、比較が難しく最上級モデルにそこまで重要ではない「クッション性」の2項目は削除しました。

その代わりミッドソール自体の「硬さ」と「総合評価」の項目をつけ加えました。

反発性軽量性硬さ総合評価
ズームXズームXミズノエナジーライトズームX
フューエルセルフューエルセルFFブラストターボFFブラストターボ
ライトストライクプロFFブラストターボライトストライクプロライトストライクプロ
FFブラストターボライトストライクプロフューエルセルフューエルセル
ミズノエナジーライトミズノエナジーライトズームXミズノエナジーライト

これはあくまでも自分の感覚の話かつ、使用密度によっても一概に言えない点もあり、異論もあるかと思います。

そのため、この順位付けとなった考察ポイントを説明します。

ミッドソール 反発性比較

反発性順位

1位:ズームX
2位:フューエルセル
3位:ライトストライクプロ
4位:フライトフォームブラストターボ
5位:ミズノエナジーライト

1位のズームXと5位のミズノエナジーライトは確定的だと感じています。

近年ではレーシングシューズに最も必要とされるのが反発性です。

カーボンプレートやズームエアの力もありますが、ナイキの厚底レーシングシューズが今でも1番のシェアを誇っているのが証明しています。

反対に圧倒的にシェアの少ないのがミズノで、そもそもトップレベルのシューズに搭載されているのが反発性より軽量性を重視しているフォームであることからも明らかな最下位です。

難しいのが2〜4位の順位づけです。

2位はフューエルセルとしましたが、ズームXに最も近い「もっちり感」を持っています。

ズームXとフューエルセルはぐにゃっとした弾力性がライトストライクプロやFFブラストターボより高いです。

必ずしも弾力性=反発性ではないかもしれませんが、わかりやすい指標ではないでしょうか?

3位のライトストライクプロと4位のFFブラストターボも弾力性の順番です。

ミッドソール 軽量性比較

軽量性順位

1位:ズームX
2位:フューエルセル
3位:フライトフォームブラストターボ
4位:ライトストライクプロ
5位:ミズノエナジーライト

軽量性の根拠としたのは、各メーカーの代表的な厚底レーシングシューズの重さです。

重量順に並べると以下の通りです。

シューズミッドソールサイズ&重さ厚さ(かかと)
アルファフライズームX26.5cm 207g39.5mm
フューエルセルRCエリートフューエルセル27cm 215g39mm
メタスピードスカイ+FFブラストターボ27cm 205g33mm
アディオスプロ3ライトストライクプロ27cm 230g39.5mm
ウエーブリベリオンミズノエナジーライト27cm 235g36.5mm

ナイキのみ26.5cmかつ個体差もあるので一概には言えませんし、ミッドソールの厚みだけで計れるものでもありませんが、参考にはなると思います。

1位はナイキのズームXですが、対象シューズは初代のアルファフライです。

アルファフライ2は26.5cmで226gと重くなっていますが、これは明らかに前作よりフォームを増量していること、また反発性はむしろ初代の方が上であるため、対象を初代のアルファフライとしています。

仮にヴェイパーフライネクスト%2(26.5cm191g 厚さ32mm)を対象とした場合も、ほぼ同レベルの厚さのメタスピードスカイ+より軽量です。

以上のことから考察しても、ズームXが最軽量であることは間違いなさそうです。

次に軽量なのがフューエルセルです。

フューエルセルRCエリートV2の軽量さがその証明ですが、フューエルセルレベルV2(27cm210g 厚さ31mm)やフューエルセルスーパーコンプペーサー(27cm195g 厚さ27mm)、フューエルセル5280(27cm 140g 24mm)などの軽量シューズが他にもたくさんあります。

3番手がアシックスのFFブラストターボです。

比較となる厚底シューズが他メーカーより薄い33mmのメタスピードスカイ+のため、単純比較は難しいところです。

しかし、初代のメタスピードスカイはミッドソールの厚さは変わらないものの199gとメタスピードスカイプラスより軽量です。

そのため、アディダスのライトストライクプロよりは軽いかなという印象です。

ライトストライクプロは4番手としましたが、アルファフライやフューエルセルRCエリートV2と比べて、ほぼ同じ厚さでありながら重量差が大きいためです。

ただし、厚さ33mmのタクミセン8は185gと軽量であるため、ズームXやフューエルセルと比べて圧倒的に重いというわけでもなさそうです。

最下位はミズノエナジーライトです。

単純に上の比較表でも一番重いですが、リベリオンより薄いウエーブデュエルネオSPでも240gと重量があるためです。

ミッドソール 硬さ比較

硬さ順位

1位:ミズノエナジーライト
2位:フライトフォームブラストターボ
3位:ライトストライクプロ
4位:フューエルセル
5位:ズームX

硬さは反発性の真逆となりました。

これは硬ければ良いとか柔らかい方が良いというわけではありません。

硬い方が安定感や推進力は生まれやすく、柔らかい方が反発性やクッション性は生まれやすいです。

ミッドソール 総合評価

総合評価順位

1位:ズームX
2位:フライトフォームブラストターボ
3位:ライトストライクプロ
4位:フューエルセル
5位:ミズノエナジーライト

反発性と軽量性で1位のズームXは文句なく総合1位、いずれも最下位のミズノエナジーライトの総合最下位は迷いのないところです。

しかし、2位から4位はかなり微妙なところです。

反発性・軽量性で2位としたフューエルセルが総合2位でもおかしくないのに4位に落としたのは、ズームXに近すぎる素材ながらズームXに劣ってしまうのを感じてしまうためです。

それに対してフライトフォームブラストターボとライトストライクプロはズームXにはない硬さがあり、ズームXほどの反発性はないもののズームX以上の安定感と推進力が得られるためです。

まとめ

これらはあくまでも自分の感覚値としてのミッドソール比較です。

その他のクッション材や使用密度・厚さなどによっても異なりますし、人によって感じ方も違うかと思いますので参考までにしてください。

なお、各メーカーのシューズレビューや人気ランキングについては以下の記事でまとめてますので、よろしければ参照してください。

ナイキ ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ

アシックス ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ

アディダス ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ

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