マジックスピードはアシックスから2021年4月9日に発売されたカーボンプレート入りの厚底シューズです。
位置付けとしては先に発売された「メタスピードスカイ」の練習用モデルですが、スペック・価格・使い勝手を考えると「メタレーサー」を廃盤に追い込むシューズなのではないかと思います。
このシューズのスペックや特徴をアシックスの「メタスピードスカイ」「メタレーサー」、ナイキの「ズームフライ3」「ズームテンポ ネクスト%」とそれぞれ比較しながら説明いたします。
マジックスピード スペック
定価は税込み17,600円で、重さは27cmで224gほどです。
ミッドソールは「メタスピードスカイ」に搭載されたフライトフォームブラストターボではなく、フライトフォームブラストです。
ブラストターボの方はメタスピードスカイに初搭載でしたが、ブラストの方は「ノヴァブラスト 」「ダイナブラスト」「ロードブラスト」といった「ブラストビヨンドシリーズ」にも搭載されている素材です。
ブラストは反発力を重視したミッドソール素材で、地面からのエネルギーのリターンに着目していることから「ブラストビヨンドシリーズ」は「エナジーリターンシリーズ」とも呼ばれています。
また、足の負担を少なくして前に進む「ガイドソールテクノロジー」も有しているとされます。
これはホカオネオネのメタロッカーシステムなどにも似ていますが、ゆりかごのようなソール形状から着地した足が前に転がるように進ませてくれる仕組みです。
アシックスで「メタライド」「グライドライド」「エボライド」の3モデルがこの機能が強く、「ライドシリーズ」とかエネルギーをセーブすることに着目した点から「エナジーセービングシリーズ」と呼ばれています。
マジックスピードは、中足部当たりで着地すると、自然と前に足を出してくれるようなライド感があります。
さらに前足部にはカーボンプレートが搭載されています。
アッパーは外側が「モノフィラメントエンジニアードメッシュ」、内側が「マルチフィラメントメッシュ」の2層です。
「モノフィラメント」とは単繊維の糸を意味していて、水はじきと通気性が良いのが特徴です。
その代わりに耐久性と肌触りは微妙なため、内側にマルチフィラメントメッシュを採用しています。
この構造はマジックスピードが初ですが、外側で水を弾いて内側で足当たりを良くするところはナイキのズームフライ3と似ています。
アウトソールには耐久性アップのためAHAR (エーハー)が使われています。
以上、マジックスピードの基本スペックをまとめると以下のような感じです。
・定価:税込み17,600円
・重さ:27cm224g
・ミッドソール:フライトフォームブラスト
・アッパー:モノフィラメントエンジニアードメッシュ+マルチフィラメントメッシュ
・前足部にカーボンプレート
・ガイドソールテクノロジー搭載
・AHAR (エーハー)ソール搭載
それでは以下、「メタスピードスカイ」「メタレーサー」「ズームフライ3」「ズームテンポネクスト%」と比較しながら特徴を説明いたします。
マジックスピードVSメタスピードスカイ比較
メタスピードスカイは現時点でアシックス最高レベルのシューズです。
そのため、マジックスピードが勝てる部分は価格の安さと耐久性くらいです。
ソールの厚さはマジックスピードが前足部23mm・かかと28mmのドロップ差5mmに対してメタスピードスカイはそれぞれ5mm増しの前足部28mm・かかと33mmです。
厚さ自体がかなり違うので単純比較はできませんが、ミッドソールの反発性・クッション性は同じ厚さであれば引けをとらないどころかマジックスピードの方が上なのではないかと思うほどです。
ミッドソールに使われているのは「フライトフォームブラスト」で「フライトフォームブラストターボ」を搭載するメタスピードスカイの方が上なのは名称からしてもわかりやすいと思います。
しかし、普通のブラストとブラストターボの違いについてはアシックスの公式ページにも書いてありません。
その理由はおそらく反発性・クッション性は普通のブラストの方が高いからなのではないかと思います。
ただ、ブラストには重さがあり、ブラストビヨンドシリーズはいずれも重いシューズでした。
つまり、ブラストターボは軽量さという点でブラストに勝るものの、反発性・クッション性では劣るのではないかと私は見ています。
このマジックスピードはわりと軽量ですが、メタスピードスカイと比べると5mmミッドソールは薄いにもかかわらず25gほど重いという点からもブラストの重さは伺えます。
反発力に関しては、厚さもあり軽量なメタスピードスカイには敵いませんが、アシックスのシューズの中では現時点で他には負けないレベルです。
使い方としてはメタスピードスカイをレース用、マジックスピードを練習用とするのがベストと思えます。
なお、メタスピードスカイについてより詳しくは「アシックス メタスピードスカイの特徴とスペックとは?」の記事を参照してください。
マジックスピードVSメタレーサー比較
メタレーサーはメタスピードが発売される前はアシックスのエース級シューズでした。
しかし、あまり反発性はなく特徴は薄かったりと、少なくとも上級者のレース用に使えるようなシューズではありませんでした。
ただしナイキのミッドソール「ズームX」の不安定性が苦手な足首の柔らかいランナーなどには、その安定性が支持されたりもするシューズでした。
メタレーサーはメタスピードスカイの登場によってエース級シューズではなくなり、練習用のシューズに落ちたと言っても過言ではありません。
さらにマジックスピードとメタレーサーを比較すると、反発性はフライトフォームブラストを搭載しているマジックスピードの方が上です。
しかし、通常のフライトフォームであるメタレーサーの方がだいぶ軽量です。
そのためピッチを回して速く走りたいランナーにはメタレーサー、ストライド型ならマジックスピードがおすすめです。
マジックスピードは前足部にのみカーボンプレートが入っていることから、前足部から中足部あたりで着地するのがベストです。
それに対してかかとから着地しても良いのがメタレーサーです。
メタレーサーの方が劣るというわけではないのですが、メタスピードスカイをレース用とするなら相性が良いのはマジックスピードです。
メタスピードエッジはピッチタイプのランナー向けということなので、もしかしたらメタスピードエッジをレース用にするならメタレーサーが練習用に相性が良いシューズとなるかもしれません。
マジックスピードVSズームフライ3比較
ナイキのズームフライ3はヴェイパーフライ ネクスト%の練習用という位置付けのシューズです。
上級者用とも思われているシューズですが、どちらかというと初級者・中級者レベルの方が使いやすいモデルではないかと私は感じています。
ズームフライ3はシューズの重量はかなりありますが、反発性・クッション性とも高いシューズです。
柔らか過ぎないクッション性から、かかとで着地しても問題ありません。
フルレングスでカーボンプレートが入っていることもあり、短い距離でのスピードは出せますが、疲れてくると重さが気になってしまうため、長い距離には使いにくいです。
それに対してマジックスピードはズームフライ3ほどのクッションはありませんが反発性は負けておらず、軽量性では圧勝のため、10kmのペース走などではズームフライ3より速く走れそうです。
ズームフライ3は発売から時間が経っていることもあり、価格が落ちているので買うのは狙い目ですが、スピードを維持するという点においてはマジックスピードの方が上です。
なお、ズームフライ3について詳しくは「ナイキズームフライ3徹底レビュー!」の記事を参照してください。
マジックスピードVSズームテンポ ネクスト%比較
ナイキのズームテンポ ネクスト%はアルファフライの練習用という位置付けのシューズです。
私が最もスピード練習に愛用しているシューズですが、このシューズの特徴はアルファフライと同じく前足部についたズームエアポッドによる反発力です。
この反発力はヴェイパーフライをもしのぐほどです。
後足部で着地してしまうとブレてしまうアルファフライとは違って、ズームテンポは後足部着地でもスムーズに重心移動ができます。
しかし、前足部から中足部で着地した方がシューズの特性は生かしやすく、その点においてマジックスピードも似ています。
エアポッドはない分、マジックスピードの方が反発力は明らかに劣ります。
ただし、マジックスピードの方が圧倒的に軽いシューズのため、ズームテンポと比較するならばマジックスピードの方がピッチ走法に向いています。
とは言え、マジックスピードも基本はストライド走法の方が向いており、ズームテンポだと重いというストライド系ランナーにマジックスピードは向いています。
ズームテンポ ネクスト%について詳しくは「ナイキ エアズームテンポネクスト%徹底レビュー!」の記事を参照してください。
まとめ
以上、アシックスのマジックスピードのスペックや特徴でしたが、スピード練習用シューズとしてはナイキにはないタイプで非常に良いと思いました。
特にメタスピードスカイをレースに履きたい人には練習用におすすめです。
その他のアシックスのランニングシューズについては「アシックス ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ」の記事を参照してください。