ナイキのランニングシューズで最も人気のあるズームランニングシューズのシリーズを中心に、スペックや機能・特徴を徹底的にレビューしました。
なお、重さは公式発表のものではなく、使用前の26.5cmの新品シューズを私が個人的に計ったものです。
ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%4

・重さ:26.5cm 161g
・アッパー:エンジニアードメッシュ
・ミッドソール:ズームX+カーボンプレート
・ズームエア:なし
多くの人が前作より「硬くなった」と言っていますが、個人的には逆に柔らかくなったと感じます。
正確に言うと足裏に感じる感覚は柔らかく、それでいて地面を捉える感覚はしっかりあるという感じです。
特に前足部は柔らかさを感じますが、沈む感じはなく、地面と反発感も強く感じます。
推測ですが、地面とプレートの位置がより近くなりつつも、2mm増した前足部の厚みがそう思わせているのだと思います。
一方でかかとも柔らかく感じます。
しかし、共通して言えるのはクッション性の低さで、柔らかいのにクッション性は感じないです。
代わりに反発性と軽量性は強く感じます。
おそらくズームXの密度はかなり低く、この感覚が多くの人にとって硬いと感じさせているのだと思います。
非常に軽くてスピードが出しやすいのは確かです。
しかし、このクッション性のなさはフルマラソンを走るにはやや心許なく、一般市民ランナーまでおすすめしやすかったヴェイパーフライ1や2と比べると明らかにエリート向けになったと思えます。
アルファフライ3と比べるとヴェイパーフライ4の方がピッチ走法向けで適距離は短め、体重の軽い方向けです。
・前作より前足部の沈み込みが強い
・トーボックスが広め
・前作よりグリップ感は良くなり、滑りづらい
ヴェイパーフライ4について、より詳しくは「ナイキ ヴェイパーフライ4 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ズームアルファフライ ネクスト%3

・重さ:26.5cm 198g
・アッパー:アトムニット3.0
・ミッドソール:ズームX+カーボンプレート
・ズームエア:前足部(エアズームポッド)
前作からは約30g軽量化し、シリーズ最軽量となりました。
大きく変更されたのは、セパレートだったソールがフラットとなり、前足部のエアポッドに体重移動しやすくなったことです。
前作より圧倒的に軽量化され、より万人向けモデルとなりました。
初代アルファフライのような反発性はありませんが、フルマラソンにはより向いているモデルです。
履き心地は一言で言えばヴェイパーフライ3にエアポッドをつけた感じです。
・ヴァイパーフライ3にエアポッドをつけた走行感
・初代アルファフライより爆発力はないが、前作より全ての点で良い
・ライド感(推進力)はアルファフライシリーズ最高
アルファフライ3について、より詳しくは「ナイキ ズームアルファフライ ネクスト%3 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ズームフライ6

・重さ:26.5cm 242g
・アッパー:ハイブリッドメッシュ
・ミッドソール:ズームX+SR02+カーボンプレート
・ズームエア:なし
ミッドソールはズームXとSR-02の組み合わせで、その組み合わせ自体は前作ズームフライ5と同じです。
しかし、前足部に一部だけ入ったズームXをSR-02で包むような仕様だった前作と違い、上部にズームX、下部にSR-02という配置になり、ズームX感がかなり増しました。
フライプレートという名称のカーボンプレートがミッドソールの間に入っていますが、アルファフライやヴェイパーフライのカーボンとは違い、剛性は弱く、やや屈曲します。
また、ヴェイパーフライ3に使っているズームXより密度が低いため、ヴェイパーフライ3より柔らかいです。
これまでのズームフライは面で押すようなタイプでしたが、今作では前足部の屈曲性とグリップ性の高さがあることから、蹴り出し気味に走った方がスピードに乗れます。
かかと部は柔らかく、転がるようなライド感は少ないため、かかと着地には向かず、前足部〜中足部で着地した方が良さそうです。
アルファフライ3に形状は似せたシューズですが、機能性や向いている走り方は全く異なるため、かなり独自の路線を進んだなという印象です。
・前足部はやや屈曲し、グリップ性が高い(ナイキのカーボンシューズでは珍しい)
・ズームXの密度はヴェイパーフライより低いため、より柔らかい
・アルファフライやヴェイパーフライとは異質の路線
ズームフライ6について、より詳しくは「ナイキ ズームフライ6 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ズームライバルフライ4

・重さ:26.5cm223g
・アッパー:メッシュ
・ミッドソール:クシュロン3.0
・ズームエア:前足部
ソールは前作より厚くなりましたが、重量は8gほど軽くなりました。
ミッドソール素材はクシュロン3.0になり、中足部にシャンク(ナイロンプレート)が入りました。
これらの変更により、足当たりはかなり柔らかくなったものの沈み込みはなく、かつ前への早い反発感が得られるようになりました。
とはいえ、カーボンプレートやズームXの使われているシューズほどの反発性はなく、あくまでも前作に比べると大きな進化といったレベルです。
しかし、本体価格がわずか1万円でこのスペックであれば、十分過ぎるほどコスパの良いシューズではないかと思います。
・助力は少ないもののクセがなく使いやすい
・足当たりは前作と比べてもかなり柔らかくなったが、接地感は硬め
・沈み込みがなく、ピッチを上げて走りやすい
ライバルフライ4について、詳しくは「ナイキ エアズームライバルフライ4徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ズームXストリークフライ2

・重さ:26.5cm126g
・アッパー:エンジニアードメッシュ
・ミッドソール:ズームX+カーボンプレート
・ズームエア:なし
とにかく軽いというのが第一印象です。
そして前作で感じたような柔らかさはストリークフライ2でも感じられます。
前作はとにかく柔らかさが際立ちながらも反発はそれほどないため、レースというよりトラックの練習用に最適といったシューズでした。
ところが今作は前作同様の柔らかさと前足部の屈曲性を持ちながら、フルレングスのカーボンプレートの効果なのか反発力も抜群です。
反発力は高い上に早い(着地してから返ってくるのが)です。
スピードだけを追求するのであれば、現行シューズの中では他メーカー含めても一番だと思います。
ただし、走り方としてはアルファフライのように乗り込んで自然に反発をもらうのではなく、しっかり前足部を屈曲させて蹴って走る力が必要です。
そのためフルマラソンには向いておらず、5~10kmくらいのレース向きといったシューズです。
前作も本来はそういう用途として開発されましたが、実際にレースで使っている人はほとんどいませんでしたし、自分としても全く選択肢にありませんでした。
ところが今作はかなり本来の用途(5~10kmくらいのロードレース)向きのシューズになったと感じます。
・反発力は高い上に早く、スピードだけを追求するならベストシューズ
・反発にまかせるのではなく、蹴って走るとかなりスピードを出しやすい
・フルマラソンを走るにはクッション性が心許なく、5~10kmくらいのレース向き
ズームXストリークフライ2について、より詳しくは「ナイキ ズームX ストリークフライ2 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
エアズームペガサス41

・重さ:26.5cm272g
・アッパー:エンジニアードメッシュ
・ミッドソール:リアクトX
・ズームエア:前足部・後足部
前作からかかと部は4mm厚く37mmになり、リアクトからリアクトXになったミッドソールが大きな変更点です。
重くはなりましたが、前作よりも力を使わずにスピードを上げられるシューズです。
かかとから着地するとかなりのクッション性を感じますが、前足部ではしっかりと接地感を感じられます。
反発性はプレートが入ってないわりにはあるという程度で、ペース走など軽めのスピード練習にも向いていますが、もっと向いているのは比較的速めかつ長めの距離走で、30km走にはもってこいです。
同じリアクトXを使ったリアクトインフィニティ4と比べてスピードを出しやすいのは当然として、アッパーの締めつけ感が強く長距離だと疲れるリアクトインフィニティ4より疲労感も少なく走れます。
・万人向けの万能モデル
・かかとのクッション性はかなり高いが、前足部は接地感がある
・スピードも出しやすいが長距離適正の方が高い
エアズームペガサス41について、より詳しくは「ナイキ エアズームペガサス41 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ペガサスプラス

・重さ:26.5cm230g
・アッパー:エンジニアードフライニット
・ミッドソール:ズームX
・ズームエア:なし
実質ペガサスターボ4と言っても良い位置づけのシューズです。
ペガサスターボの初代と2はかなり人気の高いシューズでしたが、足あたりも接地感も柔らかく、それでいて沈み込まず適度な反発感があるのがその人気の理由でした。
ところがそのペガサスターボが廃盤になってしまい、のちに復刻したネクストネイチャーはそれらとは全く別物の硬めのシューズで、はっきり言って不人気でした。
そのためペガサスプラスには初代や2のような柔らかさを求めている人が多いと思います。
足入れ感は初代のペガサスターボに似ています。
しかし、走行感の柔らかさでは敵わず、初代・2>ペガサスプラス>ネクストネイチャーという具合です。
あくまでも柔らかさの比較だけなので、ぐにゃぐにゃしない安定感の高さと反発の速さはペガサスプラスの方が上で、ノンプレートの中ではかなりスピードを出しやすく、スピード練習全般に使えます。
・足入れ感は初代のペガサスターボを思わせる
・走行感の柔らかさはペガサスターボ(初代・2)>ペガサスプラス>ネクストネイチャー
・ノンプレートシューズとしてはかなりスピードを出しやすい
ペガサスプラスに関して、より詳しくは「ナイキ ペガサスプラス 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ペガサスプレミアム

・重さ:26.5cm306g
・アッパー:モノメッシュ+サーキュラーニット
・ミッドソール:ズームX+リアクトX
・ズームエア:フルレングス
スペックからするとフカフカ系のクッションかと思いきや、硬めの接地感です。
特に前足部が硬く感じます。
後足部も前足部ほどではありませんが、やや硬めで沈み込み感はありません。
そしてズームエアの反発感ですが、これもそれほど感じません。
理由としては以下の2つが考えられます。
一つ目はそもそも300gもシューズの重さがあるため、反発感を感じにくいという点です。
そのためか走っている時よりも歩いている時の方が反発性を感じます。
二つ目は一か所に入っている他のシューズに比べ、フルレングスで入っているこのシューズの反発性が分散してしまっているのではないかという点です。
ペガサスプレミアムのズームエアは、ズームエアというよりエアマックスに入っているマックスエアに近い感じがします。
このシューズの用途は主にジョグになるかと思いますが、自然とペースが速くなってしまうタイプでもなく、特にクッションが良いというわけでもないため、価格を考慮してもランニングシューズとしておすすめできるポイントは全くありません。
デザインが気に入ってファッションとして普段履きにも使用したい、ナイキ好きの人だけにおすすめのシューズです。
ただし、通気性が良いので冬の普段履きはおすすめできません。
・走る時より歩いている時の方が反発性を感じる
・前足部は硬めで沈み込み感はない
・ランニングシューズとしてのおすすめポイントはない
ペガサスプレミアムについて、より詳しくは「ナイキ ペガサスプレミアム 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ストラクチャー26

・重さ:26.5cm 291g
・アッパー:エンジニアードメッシュ
・ミッドソール:リアクトX
・ズームエア:なし
これまでのストラクチャーシリーズは、接地感は硬めで安定感があるタイプでした。
前作では柔らかめになりましたが、それでも内側の土踏まずあたりは突き上げ感があり、足が内側に倒れこまないようなオーバープロネーション対策が施されていました。
かつてのモデルであったような硬さは全くなくなり、走行感は柔らかくなったぶん、「MIDFOOT SUPPORT SYSTEM」によりオーバープロネーションを防止しているものと思われます。
こうした変更は、アシックスでは先にゲルカヤノ30の4Dガイダンスシステムで2年前から取り入れられており、ナイキでも同じ流れに乗った感じです。
今作から前足部に入っていたズームエアはなくなりましたが、もともとスピードを出すタイプのシューズではないため、その点は気にならず、また重量が増したことも同様に気になりません。
また、柔らかくなったと伝えているものの、同レベルのカテゴリーかつ同価格のペガサス41やボメロ18に比べると柔らかさや快適さでは劣るため、あえてストラクチャー26を選ぶ理由としては「オーバープロネーション防止」という点くらいかと思います。
なお、今作から「エア」も「ズーム」も名称から消え、「ストラクチャー26」という名称になっています。
・柔らかく安定感があり、反発性はほとんど感じない
・オーバープロネーションの方におすすめ
・同カテゴリーかつ同価格のペガサス41やボメロ18と比べて特徴が薄く地味
ストラクチャー26について、より詳しくは「ナイキ ストラクチャー26 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ボメロ18

・重さ:26.5cm 290g
・アッパー:エンジニアードメッシュ
・ミッドソール:ズームX+リアクトX
・ズームエア:なし
ズームXインヴィンシブルラン・リアクトXインフィニティラン・ボメロのクッション系シューズはボメロに統合され、ズームXインヴィンシブルランとリアクトXインフィニティランは廃盤になることになりました。
履いてみてまず足裏で感じるのはその柔らかさです。
前作でもそれは感じましたが、ボリュームを増した今作はそれ以上です。
ズームXの沈み込み感はありますが、下側のリアクトXは柔らかいのに沈み込みが少ないため、分厚いかかとで着地しても安定します。
前作のボメロ17の下側に使われていたクシュロン3.0より柔らかいため、前作と比較すると格段に柔らかさが際立ちます。
ズームXもかなり増量されているため、反発性も上がっているかと思いきや、そんな感じはありません。
すべてクッションに吸収されるような柔らかさです。
前作はやや硬めのミッドソール「クシュロン3.0」が下側に搭載されていたため、足当たりは柔らかいものの沈み込みが少なく、意外とスピードを出せるシューズでした。
今作では柔らかいズームXに柔らかいリアクトXを重ねたものの、沈み込みはなく、しかし反発はなくスピードは出しづらいです。
ボメロ18は、ボメロ17とズームXインヴィンシブルラン3とリアクトXインフィニティラン4の後継モデルと言えますが、その中では一番リアクトXインフィニティラン4に近いと思います。
・ミッドソールは非常に柔らかいが、安定感は高い
・反発性は低く、柔らかさはクッション性に使われている
・前作と違ってスピードは出しづらい
ボメロ18について、より詳しくは「ナイキ ボメロ18 徹底レビュー!」の記事を参照してください。
ボメロプラス

・重さ:26.5cm 268g
・アッパー:エンジニアードメッシュ
・ミッドソール:ズームX
・ズームエア:なし
思ったよりも硬めという意見も聞かれますが、私の感覚では、どう考えてもボメロ18よりあらゆる点で柔らかめです。
厚さはボメロプラスの方がボメロ18より1mm薄いとのことですが、ボメロプラスの方が厚く感じます。
クッション性も反発性もボメロ18より感じ、ボメロ18より圧倒的に速く走れます。
ボメロ18と違い下部もズームXのため、安定感のなさを心配する人もいるかと思いますが、アウトソールの幅も広く、それほどの沈み込みもないため不安定さは感じません。
また、ナイキのシューズにはあまりない、ライド感を感じるタイプです。
多少の沈み込みはあり反発性はありますが、シューズの重量もあるため、ライド感に任せてある程度のスピードに乗せる走り方が向いています。
履く前はジョグ用にしか使えないかと思っていましたが、軽めのテンポ走やペース控えめのロング走など、ある程度スピードを上げた方がむしろ走りやすいです。
履き心地的にはインヴィンシブル2に似ており(3には似てない)、インヴィンシブル2のグリップとクッション性を少し弱くして反発性とライド感を足した感じです。
・ミッドソールは非常に柔らかいが、安定感は高い
・ボメロ18と違ってスピードを出しやすい
・インヴィンシブル2のグリップとクッション性を少し弱くして反発性とライド感を足した感じ
ボメロ プラスについて、より詳しくは「ナイキ ボメロプラス 徹底レビュー」の記事を参照してください。
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