シューズで振り返る箱根駅伝2023
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駒澤大学の学生駅伝3冠となった2023年の箱根駅伝。

使用されたランニングシューズという観点から振り返ってみました。

まず、ブランド別のシェアは以下の通りです。

順位ブランド使用者数シェア
1ナイキ13061.9%
2アディダス3818.1%
3アシックス3215.2%
4プーマ73.3%
5ミズノ10.5%
5ニューバランス10.5%
5アンダーアーマー10.5%

使用モデル別にすると以下の通りです。

順位ブランドモデル使用者数
1ナイキヴェイパーフライネクスト%285
2アディダスアディオスプロ331
3ナイキアルファフライネクスト%221
4アシックスメタスピードスカイ+17
5ナイキアルファフライネクスト%15
6アシックスメタスピードスカイ13
7ナイキヴェイパーフライネクスト%6
7アディダスアディゼロタクミセン96
9プーマディヴィエイトニトロエリート24
10プーマファストアールニトロエリート3
10ナイキズームXストリークフライ3
12アシックスメタスピードエッジ+2
13アディダスアディオスプロ21
13ミズノカスタムモデル1
13ニューバランスフューエルセルSCエリートV31
13アンダーアーマーフローベロシティーエリート1

ナイキ

前年の154人、73.3%のシェアから130人、61.9%に落としたものの、まだ圧倒的なシェアを誇ります。

しかし、かつては人気を二分していたヴェイパーフライとアルファフライには大きな差がつき、ヴェイパーフライ優勢が明らかになりました。

ナイキ ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ

1位:ヴェイパーフライネクスト%2

使用者85人、モデル別でも全体の40%を超えるシェアを奪ったのがヴェイパーフライネクスト%2です。

主に駅伝カラーが目立ちました。

区間別では1区(10人)・5区(13人)・6区(12人)・9区(10人)で使用者が10人を超えました。

1区では初代ヴェイパーフライも2名使用していましたが、逆にアルファフライは2も含め使用者がいませんでした。

これはスローペースが想定される1区では、ペースが遅いと上に跳ねてしまうアルファフライよりも、軽量でバランスの良いヴェイパーフライの方が好まれたことが考えられます。

また、特殊区間である5区・6区で過半数を超えるランナーが着用していたということで、上りでも下りでもオールマイティーに使えるシューズであることが裏付けされました。

ナイキ ズームXヴェイパーフライネクスト%2 徹底レビュー!

3位:アルファフライネクスト%2

使用者21人、モデル別シェア3位です。

初代モデルを使用するランナーも多かったこともその理由にありますが、アディオスプロ3より着用者が10人少なめでした。

初代モデルと比べるとフルマラソンには使いやすくなったかもしれませんが、短い距離ではやはり初代モデルの方がスピードを出しやすく、箱根駅伝くらいの距離では微妙なのではないでしょうか。

区間別では、前述した通り1区では初代モデルも含め0、そして5区の山登り区間も0でした。

やはり登りには向いていないシューズということの証明ですが、逆に6区では区間順位ワン・ツーがアルファフライネクスト%2と、下り適正はあるシューズです。

ナイキエアズーム アルファフライ ネクスト%2プロトタイプ 徹底レビュー!

5位:アルファフライネクスト%

使用者は15人、モデル別シェアは5位です。

着用者数は5位ながら、着用者のパフォーマンスでは1位と言っても過言ではありません。

花の2区でワン・ツーした中央大の吉居選手・青学大の近藤選手が着用していた他、9区区間賞の青学大の岸本選手、3区2位の早稲田大の井川選手など、実績のあるスピードランナーが選んでいる印象があります。

2区・9区は上り坂があるため、一定スピードで走るならヴェイパーフライの方が良いかもしれませんが、速いスピードで押していく吉居選手のような走りには特に向いているのではないでしょうか。

ナイキ エアズームアルファフライネクスト%徹底レビュー!

7位タイ:ヴェイパーフライネクスト%

使用者は6人、モデル別シェアは7位タイです。

初代のヴェイパーフライネクスト%と2との違いはほぼアッパーのみです。

初代の方がやや軽量なのは良い点ですが、おそらく初代モデルを選んだランナーは、軽量さのためではなく前足部の幅広感が理由だと考えられます。

初代の方が幅がスリム、2の方が幅広に感じますが、初代が廃盤になってから2年近く経つのに6人も使用しているとは、2の幅広感が気になるランナーがこれだけいるということでしょうか。

ナイキヴェイパーフライネクスト%徹底レビュー!

10位タイ:ズームXストリークフライ

使用者は3人、モデル別シェアは10位タイです。

箱根駅伝の区間距離では少し長いかと思いましたが、1区・5区・9区でそれぞれ1人ずつ着用していました。

カーボンシューズと違って屈曲性が高いため、5区の登りに使われるのはイメージが湧きます。

また、1区はスローペースが予想されるため、スローペースからの切り替えに厚底カーボンシューズより向いているという判断があったのかもしれません。

ナイキ ズームXストリークフライ徹底レビュー!

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アディダス

前年の28人、13.3%のシェアから38人、18.0%のシェアに伸ばしました。

全日本や出雲ではアシックスのメタスピードシリーズの方が目立っている気がしましたが、箱根駅伝の距離ではアディダスのアディオスプロ3が向いているということかと思います。

アディダス ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ

2位:アディオスプロ3

アディダス オンラインショップ

使用者は31人、モデル別シェアは2位です。

1位のヴェイパーフライネクスト%2には差をつけられましたが、アルファフライネクスト%2を凌いだ意味は大きいです。

アディオスプロ3はハーフくらいの距離よりフルの方がむしろ向いているように思います。

逆にもっとスピードを要求される10kmくらいの距離になると重さもあることから使用率が低下します。

出雲駅伝や全日本駅伝より、アディオスプロ3が目立っていたのはそのためです。

なお、2023年の箱根駅伝で履かれていた31足はすべてこのカラーでした。

タクミセン9と遠目には違いがわかりにくいですが、ミッドソールの真ん中にピンクのラインがあるかないかが見分けるポイントです。

アディダス アディゼロ アディオスプロ3 スペック・特徴レビュー!

7位タイ:アディゼロタクミセン9

アディダス オンラインショップ

使用者は6人、モデル別シェアは7位タイです。

自分が履いた感覚ではハーフくらいの距離まではアディオスプロ3より良いんじゃないかと思ったため、もう少し使用者はいるのではないかと思っていました。

2022年の5区区間賞をとった帝京大学の細谷選手が前作のタクミセン8を履いていたこともあり、登りに向いているシューズという印象もあります。

しかし、今年は5区でタクミセン9を使用した選手は0で、逆に6区では2人が使用していました。

使用された6足はすべてこのカラーですが、アディオスプロ3との違いはミッドソールの真ん中にピンクのラインがあるかないかで見分けがつきます。

アディダス アディゼロ タクミセン9 スペック・特徴レビュー!

13位タイ:アディオスプロ2

アディダス オンラインショップ

使用者は1人だけいました。

アディオスプロ3よりやや軽く、前足部は3.5mmも2の方がソールが薄く(かかと部は同じ39.5mm)、やや幅は狭めです。

距離が長くなるほど3の方が良いと思いますが、ハーフくらいの距離であれば2を選ぶランナーがいても確かに不思議ではありません。

アディオスプロ2.0 スペック・特徴レビュー!

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アシックス

前年の24人、11.4%のシェアから32人、15.2%のシェアに伸ばしました。

使用モデルは「メタスピードスカイ+」「メタスピードスカイ」「メタスピードエッジ+」の3種類に分かれました。

実はメタスピードシリーズは「メタスピードエッジ」のみ廃盤となりました。

初代のメタスピードスカイは「+」が発売された後も新作が発売されており、箱根駅伝でも「メタスピードエッジ+」より使用者が多く、根強い人気のモデルとなっています。

アシックス ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ

4位:メタスピードスカイ+

ASICS公式

使用者17人、モデル別シェア4位です。

メタスピードスカイ+で最初に発売されたのがこのカラーです。

このカラーはメタスピードエッジ+と同じのため、カラーだけでは判別不可能でしたが、今大会ではこのカラーの使用者はいませんでした。

ASICS公式

2022年秋に発売されたカラーです。

このカラーの使用者は少なかったですが、何人か見られました。

発売最初のモデルと違ってメタスピードエッジ+とカラーで見分けがつくようになりました。

緑と青のカラー配置がメタスピードエッジ+とは逆になってます。

ASICS公式

今大会で一番使用者が多かった新カラーです。

2番目のカラーと同じように、メタスピードエッジ+とはカラー配置が逆になっています。

アシックス メタスピードスカイ+&メタスピードエッジ+レビュー!

6位:メタスピードスカイ

ASICS公式

使用者は13人、モデル別シェアは6位です。

使用者数はメタスピードエッジ+を凌ぎました。

「+」が発売されたことで廃盤になったと思っている人もいるようですが、変わらずに新カラーが発売されており、初代を選ぶエリートランナーがこれだけいることからも根強い人気が伺えます。

このカラーはメタスピードスカイ+と似ていますが、若干こちらの方が色が薄くなっています。

ASICS公式

こちらのカラーはメタスピードスカイ+と同じのため、見分けがつきにくいです。

近くで見るとアッパーの素材も違ったり、ミッドソールの「FF turbo」の刻印の位置や大きさが全然違ったり、かかとの「METASPEED SKY」の刻印がなかったりとわかりやすい違いが多々あります。

しかし、遠くから見て判別するには、つま先の上がり具合が違うことくらいでしかわからないくらい似ています。

アシックス メタスピードスカイ使用レビュー!

12位:メタスピードエッジ+

ASICS公式

使用者は2人、モデル別シェアは12位でした。

上の画像は初期のカラーですが、デザイン的にメタスピードスカイ+との違いがかかとに刻印された文字のみで、遠くからは判別が難しいです。(このカラーの使用者はいませんでした)

ASICS公式

メタスピードスカイ+とはカラーレイアウトが逆になっています。

ASICS公式

こちらもメタスピードスカイ+とはカラーレイアウトが逆です。

このカラーの使用者が2人いました。

アシックス メタスピードスカイ+&メタスピードエッジ+レビュー!

プーマ

前年の1人から今年は7人と着実に使用者を増やしました。

使用モデルとしてはディヴィエイトニトロエリート2とファストアールニトロエリートの2種類に4:3で分かれました。

プーマ ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ

9位:ディヴィエイトニトロエリート2

プーマ公式オンラインストア

使用者は4人、モデル別シェアは9位でした。

ディヴィエイトニトロエリート2の方がファストアールニトロより安定感はありませんが、柔らかさと反発性は上です。

10位タイ:ファストアールニトロエリート

プーマ公式オンラインストア

使用者は3人、モデル別シェアは10位タイでした。

不安定そうな見た目と違って安定感があるのが特徴です。

ディヴィエイトニトロエリート2より使用者は少なかったですが、フルマラソンになればファストアールの方が支持が高くなると思います。

ミズノ

使用者はわずか1人、昨年の2人からさらに減らしました。

箱根駅伝の放送中、何度もミズノの新作ランニングシューズ「ウエーブリベリオンプロ」のCMが流れましたが、そのシューズの使用者は1人もいませんでした。

ミズノ ランニングシューズ徹底レビュー! スペック・特徴まとめ

13位タイ:カスタムモデル

4区を走った創価大の嶋津選手が履いていました。

嶋津選手は3年前に10区を区間新記録で走った際にも真っ白なミズノのランニングシューズで話題になりました。

そのシューズは後に発売されるウエーブデュエルネオのプロトモデルでしたが、今回もそのウエーブデュエルネオをベースとしたカスタムモデルのようです。

ニューバランス

使用者は今年も前年と変わらず1人でした。

ニューバランス ランニングシューズ徹底レビュー! スペック・特徴まとめ

13位タイ:フューエルセル SCエリート V3

画像の帝京大学の選手が履いているシューズです。

SCはスーパーコンプの略で、エナジーアークと呼ばれるアーチ型のカーボンが入ったフューエルセルシリーズのシューズにその名称がつけられています。

スーパーコンプと名のつくフューエルセルのシューズには、中厚底のレーシングシューズ「スーパーコンプペーサー」と超厚底のトレーニングシューズ「スーパーコンプトレーナー」が先に発売されていますが、これまで厚底レーシングシューズは発売されていませんでした。

スーパーコンプエリートV3は厚底のレーシングモデルとして3代目のモデルを意味する「V3」がつけられていますが、前作に相当するのはRCエリートV2です。

RCエリートはエナジーアークでなく、通常のカーボンプレートだったため、エナジーアークが搭載された今作から「RC」→「SC」に改名されたようです。

日本では未発売モデル(2023年2月発売予定)のため、発売されたらレビューをいたします。

アンダーアーマー

アンダーアーマーは箱根駅伝99回の歴史の中で今回が初登場となりました。

13位タイ:フローベロシティエリート

10区学連選抜の貝川選手が履いていたのがアンダーアーマーのランニングシューズで、モデルはおそらくこの「フローベロシティエリート」です。

これは日本未発売モデルのため、どんなシューズなのかよくわかりませんが、トレーニングモデルである「フローベロシティウインド」はすでに発売され、一定の支持を得ています。

まとめ

詳細の一覧はPDFデータとしてこちらで販売していますので、興味のある方はご覧ください。