5大栄養素と3つの役割とは?【速くなるための栄養学】
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より速く走るためには練習と休養と栄養の3つが必要です。

しかし、速く走れるようになるために「練習」や「休養」に比べて「栄養」は軽視されがちです。

栄養素を知ることと効率よく摂ることで速く走ることに寄与するので、きちんと知っておくことをおすすめします。

5大栄養素と3大栄養素

まず、栄養素は①炭水化物(糖質)②脂質③たんぱく質④ミネラル⑤ビタミンの5つに分けられ、これらを総称して5大栄養素と言います。

5大栄養素

炭水化物(糖質)
脂質
たんぱく質
ミネラル
ビタミン

人間の体は、この5大栄養素によって作られています。それぞれの特徴を役割分けするとこんな感じです。

栄養素の3つの役割

1.エネルギー源となる
2.身体の構成成分となる
3.身体の機能を調整する

エネルギー源となる栄養素は3大栄養素とも呼ばれ、5大栄養素のうちの炭水化物・脂質・たんぱく質が該当します。走るためのガソリンです。

身体の構成成分となる栄養素は、たんぱく質・ミネラル・脂質が該当します。走るための身体作りです。

身体の機能を調整する栄養素は、ミネラル・ビタミンが該当します。走るための身体の機能維持です。

それぞれの特徴を理解し、バランス良く5大栄養素を摂ることによって練習効果を高め、記録の向上につなげることが可能です。

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炭水化物(糖質)

炭水化物は体内の消化酵素で消化される糖質と、消化されない食物繊維に分けられますが、エネルギー源となるのが糖質です。

糖質はブドウ糖に分解・吸収され、血液を通じて各細胞に運ばれます。血液中にブドウ糖は一定量存在しますが、大部分は肝臓と筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されます。

糖質がグリコーゲンとして貯蔵されるまでには多くの消化プロセスがあり、ご飯やうどんなどに多く含まれるでんぷんのような分子量の多い糖質は消化に時間がかかり、ラムネなどのお菓子類やエネルギージェルに多く含まれるブドウ糖は早く消化することができます。

グリコーゲンはエネルギーとして使う時に再びブドウ糖に分解されます。このプロセスのことをエネルギー代謝と言います。

糖質のエネルギーは脂質より素早く利用されるのと、貯蔵量が少ないのが特徴です。満タンに貯蔵しても1,800kcal程度で、最低でも2,000kcal以上を必要とするフルマラソン1本を走ることもできません。

また、糖質だけが持つ重要な役割として、脳のエネルギー源になるという機能です。脳はブドウ糖のみを栄養とします。

フルマラソン後半でブドウ糖が切れてしまうと、フラフラになり、よく覚えていないということが起こるのはそのためです。

レース前にできるだけグリコーゲンを体内に溜め込む食事方法を「カーボローディング」と言いますが、詳しくは、「カーボローディングのメリットとおすすめのやり方とは?」の記事を参照してください。

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脂質

脂質というと、悪者のようなイメージがあると思いますが、本来は細胞やホルモンの材料であり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける、体温を維持する、臓器や細胞を衝撃から守るなどの機能があります。

そして糖質と同じくランニングのエネルギー源として重要なのが脂質です。

スピードを上げて走るほど糖質が主要なエネルギー源となりますが、ゆっくり走る時ほど脂質が使われる割合が多くなります。

ちなみに脂質が持つエネルギー量は1gにつき約9kcalで、炭水化物の4kcalの2倍以上あります。それだけ効率良いエネルギー源であり、体脂肪1kgのエネルギーは約7,000kcalになります。

7,000kcalともなるとフルマラソン2回走ってもお釣りがくるほどです。そのエネルギーをたった1kgの体脂肪で持っているのです。

どんなに体脂肪がない人でも、1kgに満たない人はいないでしょうから、脂肪を溜め込むことは良いことではないのは確かです。

また、美味しいものほど脂質を多く含んでいたりするので、豊かな現代人であれば意識していなくても充分に摂れる栄養素かもしれません。

ただ、脂質にも摂った方が良いものと摂らない方が良いものがあります。

詳しくは「ランナーが摂るべき2種類の脂肪酸と摂ってはいけない脂肪酸とは?」の記事を参照してください。

たんぱく質

炭水化物や脂質と同じくエネルギー源となる他、身体の構成成分ともなる大事な栄養素です。

炭水化物・脂質と合わせて3大栄養素の1つですが、3つの中で最も不足する可能性があります。

たんぱく質はアミノ酸まで分解され、腸から吸収されます。その後、必要に応じて体たんぱく質へ合成されます。

たんぱく質は、筋肉・血液・内臓・皮膚・毛髪・爪などの身体の構成成分となる他、ヘモグロビンの材料にもなります。

体は10万種類ものたんぱく質で構成されていますが、これらはわずか20種類のアミノ酸によってつくられています。

このうち11種類のアミノ酸は体内で合成できますが、9種類は体内で合成できず、食事から摂らなくてはいけないため、必須アミノ酸(BCAA)と呼ばれています。

たんぱく質の栄養価はこの必須アミノ酸バランスで評価され、肉・魚・卵・乳製品などの動物性たんぱく質が良質なたんぱく質とされています。

たんぱく質について詳しくは「タンパク質の摂取方法3つのポイントと良質なタンパク質とは?」の記事を参照してください。

ミネラル

人間の身体の96%は酸素・炭素・水素・窒素の4つで構成されていますが、残りの4%にあたる元素のことをミネラル(無機質)と呼んでいます。

3大栄養素に比べて必要な量は少ないですが、身体作りや体調維持に必要な栄養素です。

人間に必要不可欠なミネラルは16種類と言われていますが、ランナーに特に重要なのはカルシウムと鉄です。

この2つは普段の食事から摂取が難しく、不足しやすい上に吸収率も悪く、汗と一緒に失われてしまうためです。

カルシウムには、骨や歯を形成する役割があります。丈夫な骨を維持し、疲労骨折などの怪我を防止するためにも必要です。

また、筋肉の収縮や神経伝達の調整をする働きもあります。カルシウム濃度が低下すると足攣りを起こしやすくなります。

鉄は持久力を支える栄養素として、重要な役割を担っています。たんぱく質と結合して酸素を運ぶ役割をするヘモグロビンの材料となるためです。

鉄が不足すると、酸素の運搬ができなくなってスタミナが低下し、鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。

たくさん走るランナーほど貧血になりがちです。

ただのスランプだと思っていると、実は貧血だったなんてこともよくある話です。

では、何故たくさん走るランナーほど鉄分が必要で貧血になりがちなのかという理由と、その対策については「スランプの原因は貧血?ランナーに多くの鉄分が必要な理由とは?」の記事を参照してください。

ビタミン

ミネラル同様、微量ながらも必要な栄養素です。3大栄養素の代謝をスムーズにする潤滑油のような働きをしたり、老化の原因になる活性酸素を除去する抗酸化作用の役目を果たします。

ビタミンは13種類あり、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)と水溶性ビタミン(その他)に大別されます。

脂溶性ビタミンは、油と一緒に摂取すると吸収率が高まり、体内に蓄積する性質を持っています。

一方で水溶性ビタミンは、多く摂っても汗や尿と一緒に排出されてしまいます。

どちらも毎食摂取する必要がありますが、特にランナーに関わりのある水溶性ビタミンであるB1、B2、Cについて記します。

まずB1は、糖質の代謝を助けるため、代謝が高まると必要量が増え、不足すると代謝が落ちます。

次にB2ですが、特に脂質のエネルギー代謝を助けるため、ゆっくり走る時ほど消費量が増えます。不足すると口内炎や目の充血を招きます。

最後にCですが、鉄の吸収を高める抗酸化作用を持つほか、ストレスの緩和や免疫力の向上などのコンディション作りにも関わります。

たんぱく質やミネラルが必要なことは多くのランナーが気づいていると思いますが、意外と軽視されているのがビタミンではないでしょうか。

ビタミンは、老化の原因とされる活性酸素の生成を抑制する効果があるとも言われています。

活性酸素と老化については「ランニングで老化する?その原因と対策を考える」の記事を参照してください。

まとめ

5大栄養素は、走る前や走っている最中には糖質、走った直後にはたんぱく質など、摂るべきタイミングがあるのは確かですが、基本的に3食ごとに意識して摂ることが重要です。

一度に吸収できる量には限りがあるためで、昼摂ったから夜はいいやということではないのです。

また、どれか1つの栄養素だけを重視するのではなく、バランスよく全て摂る必要があります。

では、どんなメニューがいいかというところですが、①主食②おかず③野菜④果物⑤乳製品の5つを意識して食べるようにすると、5大栄養素はだいたい摂れるかと思います。

できるだけ栄養フルコース型の食事を意識して摂取し、足りない栄養素をサプリで補うようにしましょう。

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