ナイキのエアズームマックスフライは、東京オリンピックでも短距離界を沸かせた100mから400m向けのスプリント用のスパイクです。
発売からかなりの時間が経ちましたが、いまだに入手困難なスパイクです。
今回はたまたまそんなマックスフライのモアアップテンポというモデルを入手できたので、そのスペックや走行感を解説いたします。
エアズームマックスフライ モアアップテンポ 重さ
26.5cmですが、付属のニードルピンをつけた状態で165gです。
こちらは通常のマックスフライで、26.5cm163gと個体差レベルの違いです。
ピンなしの状態では157gです。
短距離スパイクの中では重さがあります。
なお、同じく短距離用スパイクであるズームスーパーフライエリート2はピンをつけた状態で151g、ズーム400は123gでした。
エアズームマックスフライ モアアップテンポ アッパー
アッパーはウーヴンアッパーと合成素材を合わせたフライウィーヴと呼ばれるもので、柔らかくて肌触りの良い素材です。
縦には伸びないものの、横の伸縮性はややあり、通気性はあまり良くない感じです。
スーパーフライエリート2が軽量で通気性が良く伸縮性のないアトムニットを使っているのと対照的です。
通常のマックスフライと比べると、違うのはデザインくらいです。
エアズームマックスフライ モアアップテンポ ミッドソール
短距離スパイクにはミッドソールがないタイプが多いですが、マックスフライにはエアズームヴィクトリーと同じタイプのミッドソールがあります。
通常のマックスフライとモアアップテンポに違いはなさそうです。
前足部にはズームエアがついています。
モアアップテンポは画像ではわかりにくいですが、通常のマックスフライでは黄色い部分がズームエアです。
ズームエアはランニングシューズではおなじみの反発性素材ですが、短距離用スパイクに搭載されたのはマックスフライが初めてです。
さらにカーボンプレートはつま先からかかとまでフルレングスで入っています。
エアズームマックスフライ モアアップテンポ アウトソール
アウトソールの表面全体に硬いプレートがあり、ミッドソールのカーボンの硬さもあるため、屈曲性はほぼありません。
このアウトソールのプレートにはショックウェーブパターンという波状の凹凸があり、トップアスリートの走りを研究した上で必要な位置に必要な厚さの凹凸がつけられています。
前足部のズームエアは、内外に分かれていることからダブルズームエアと呼ばれています。
やはり、モアアップテンポも通常モデルと変わりなさそうです。
また、ピンは7本の取り替え式ニードルピンとなっています。
エアズームマックスフライ モアアップテンポ シューズケース
白いシューズケースが付属でついています。
特徴的なのは、片足ずつ入れる設計になっているところです。
ニードルピンがもう一方のシューズを傷つけてしまうことを防ぐためです。
ただし、シューズケース自体を傷つけてしまうことがあるのでタオルなどで二重にガードした方が良さそうです。
エアズームマックスフライ モアアップテンポ 使用レビュー
プレートは硬く屈曲性はありませんが、履いてみるとむしろ柔らかく感じます。
前足部で着地するとかなり跳ねる感じがあります。
従来のスパイクはプレートがしなって戻ることにより推進力が得られますが、このスパイクはそれだけではありません。
空気が圧縮され、それを押し返す力が加わるため、圧倒的に反発性が高いスパイクです。
普段は薄底やスパイクを履いている方には違和感があるかもしれませんが、厚底シューズに慣れた人ならむしろ違和感なく履けるスパイクです。
短距離を速く走るには地面を蹴ったり掻いたりする動きが必要なのがこれまでの常識でしたが、このスパイクで速く走るためには、厚底シューズ「アルファフライ」と同様に、乗り込むような感覚が良いと思います。
自然と跳ねてくれるため、力をセーブしながら走ることができます。
しかし、これまで薄底に慣れた人にしてみると、厚さと重さがあるため、ピッチが回しにくかったり地面感覚が異なるといった微妙な感覚の違いが生じそうです。
私も最初はスパイクとは思えないような違和感が少しありましたが、厚底シューズに慣れていたためかすぐに慣れてしまいました。
このスパイクの適距離は100〜400mとのことですが、力をセーブして走れることから200〜400mの方が向いていると思います。
また、走り方としては足を回すタイプより地面を押すタイプに、ピッチ型よりストライド型に向いています。
エアズームマックスフライ モアアップテンポ まとめ
マックスフライの基本スペックのまとめです。
・26.5cm165g(ピン付)
・フライウィーヴアッパー
・ダブルズームエア
・カーボンプレート
・ショックウェーブパターン
マックスフライの特徴のまとめです。
・ズームエアとカーボンプレートによる反発性が非常に高い
・硬いプレートにより屈曲性はないが、履き心地はむしろ柔らかい
・地面を引っ掻いたり蹴ったりするより、押す走りが効果的
・ピッチよりストライド向き
・力をセーブしながら走れるのでロングスプリント(200〜400m)向き
・通常のマックスフライと違うのはデザインだけ
なお、ナイキの短距離用スパイクの「ズーム400」や「ズームスーパーフライエリート2」、中長距離用の「エアズームヴィクトリー」や「ズームXドラゴンフライ」、その他ナイキのランニングシューズについてのレビューなどは以下の記事を参照してください。
ナイキ ランニングシューズ徹底レビュー!スペック・特徴まとめ