10kmと10000m。同じ意味だと思っている人は多いと思いますが、実は違います。
以下、3つの点で異なります。
・トラックかロードかの違い
・距離の違い
・計時基準の違い
順に解説します。
トラックかロードかの違い
世界陸上やオリンピックで見る種目は10,000mであって10kmではありません。
市民ランナーが出るレースはほとんどの場合が10kmです。
つまりトラックだとm表記、ロードだとkm表記となります。
距離の違い
10,000mと10kmでは距離は同じかというと、厳密には違います。
公認コースの場合、許容される誤差が決められています。(公認記録についての詳細は「マラソン公認記録とは?公認レースと公認コースの違いについて」の記事を参照してください)
トラックの場合、10,000分の1しか誤差が許容されないのに対し、ロードでは1,000分の1です。
つまり、10,000mや10kmに関して言うとトラックでは1m、ロードでは10mです。ちなみにフルマラソンに関して言えば42.195mです。
さらに許されるのはプラスの場合だけで、マイナスは認められません。
トラックの場合であれば、認められる誤差は少ないものの、そうは狂わないでしょう。
しかし、ロードの場合はワンウェイの折り返しでもない限り、なかなか難しいのはお分かりでしょうか?
カーブをどう曲がるかで距離の計測はばらつきが出てしまいます。
万が一にも距離が短く計算されてしまうのを防ぐため、距離短小防止ファクターとして、1,001mを1,000mとするというルールがあります。
つまり、公認大会の10kmのレースであれば、最短距離を走ったとしても最低でも10.01km(10,010m)はあるということになります。
逆にぴったり10kmの距離だとすると、それは公認コースとはならないわけです。
なお、公認ではないコースの10kmは、より10,000mの距離と乖離が生じるのは当然のことです。
計時基準の違い
秒までしか計時しないロードに対して、100分の1秒まで計時するのがトラックです。
参考までに2021年1月末時点での世界記録は、10,000mがジョシュア・チェプテゲイの26分11秒00で、10kmがロネックス・キプルトの26分24秒です。
日本記録は10,000mが27分18秒75(相澤晃)で、10kmが28分5秒(佐藤敦之)です。
フルマラソンも秒までしか計時されないのはロード種目だからで、仮にトラックで行われるのであれば42,195mの距離となり、100分の1秒まで計時されることとなるわけです。
まとめ
ロードはトラックに比べると凹凸があったりするので一般的には10,000mより記録は出ません。
また、市民ランナーには10kmの方が一般的ですが、トップランナーには10,000mの方が一般的です。
世界記録も日本記録も10,000mと10kmの記録に大きな差があるのは、以上の2つの理由が大きいと言えます。
単に記録を狙うという点から言えば、市民ランナーも10,000mのレースに出てみると良いのではないかなと私は思います。
なお、2020年12月より、トラックにおける公認レースではシューズの厚さ規定が設けられました。
詳しくは「[厚底禁止]トラック公認大会で使用できるランニングシューズは?」の記事を参照してください。