2020年7月28日、800m以上のトラック種目は25ミリ以下、800m未満の種目は20ミリ以下というシューズの厚さ制限を設けることが世界陸連から発表されました。
発表当初は制限の期限を12月1日からとしていましたが、翌月には即時適用に撤回されました。
この対応はかなりの混乱を招き、8月7日に欧州記録で走ったソンドレ・モーエン選手の1時間走の記録が取り消されるという出来事がありました。
一方、日本陸連はこの発表を受けて11月末までは移行期間とし、厚底シューズを使えるかどうかは主催者判断に委ねられることになりました。
いずれにしろ12月1日以降はトラックの公認レースで厚底シューズが使えなくなるわけですが、では、どのシューズなら使えるのかについてブランド別にまとめてみました。(厚さ25mm以下制限となる800m以上のレースが対象です)
アシックス[トラック使用可能シューズ]
カーボンプレート入りシューズとして発売されたばかりの「メタレーサー」は、ナイキの厚底ほどの厚みはありませんが、今回の規定に引っかかるため、トラックの公認レースでは使用できないことになってしまいました。
トラックでも問題なく使えるのは、「ソーティーマジック」シリーズおよび「ソーティージャパン」シリーズ(ソーティージャパントレーナーは除く)です。
アシックスと言えば薄底というイメージを持っている人もいると思いますが、この2つのシリーズはその中でも薄底で有名です。
ミズノ[トラック使用可能シューズ]
ミズノ史上最高のテクノロジーを搭載したウェーブデュエルネオは残念ながら対象外となりましたが、アシックス以上にミズノは薄底シューズが豊富です。
「ウエーブエキデンスピリット」「ウェーブデュエルGTZ」「ウェーブクルーズジャパン」「ウェーブエンペラー」「ウェーブエンペラージャパン」「ウェーブソニック」の各シリーズが使用可能です。
デサント[トラック使用可能シューズ]
2019年末に発売されたデサントのランニングシューズ「GENTEN」シリーズの最上位モデル「GENTEN-EL」(ゲンテンエリート)はカーボンプレート入りのシューズです。
詳しくは「デサント「GENTEN-EL」(ゲンテンエリート)徹底レビュー!」の記事でレビューを書いていますが、他ブランドは厚底カーボンシューズが多い中、GENTEN-ELは薄底のカーボンシューズです。
クッションはありませんが、それだけ硬いが故に反発性はあり、まさにトラック用に開発されたようなシューズです。
アウトソールに搭載された独自技術の「グラフェンソール」によりグリップも非常に良いシューズです。
GENTEN-ELに次ぐ、サブスリー向けのGENTEN-RC(ゲンテンレーシング)もカーボンは入ってませんが、薄底でトラック向けのモデルです。
トラックで厚底が禁止されたことによって、GENTENは今後注目を浴びてきそうな気がします。
こちらはカーボンプレート入りのエリートモデル「GENTEN−EL」です。
こちらはサブ3レベル向けレーシングシューズ「GENTEN−RC」です。
ナイキ[トラック使用可能シューズ]
ナイキは厚底が目立ち、使えるシューズが少ないためか上記3ブランドに比べてこの話題で話が上がってきません。
そのため自己計測してみました。
まずはナイキの薄底で最も有名なズームストリーク7です。
少なくとも2.5cm以上はありそうなのでアウトです。
次にズームエリート10です。
こちらもズームストリーク7とほぼ同じでアウトです。
次にスピードレーサー6です。
こちらは大丈夫そうです。
しかし、スピードレーサーはすでに生産してないと思われるのが残念です。
このシューズについての詳細は「ナイキズームスピードレーサー6 レビュー!」の記事を参照してください。
最後に最軽量モデルのズームストリークLT4です。
こちらも大丈夫そうです。
ズームストリークLTはズームストリークと似ていますが、実は全く異なるシューズです。
詳しくは「ナイキズームストリークLT4レビュー!ナイキ最軽量シューズ」の記事を参照してください。
[補足]非公認大会では?
トラックで厚底が禁止されるというのは、あくまでも公認大会のルールです。
ほとんどの市民ランナーは、トラックの大会に出ないか非公認大会に出るかだと思います。
非公認大会では今後もおそらく普通に使えるとは思いますが、世の流れ的に使いにくくなるとは思います。
もしかしたら主催者判断により非公認大会でも禁止される可能性も考えられます。
そのあたりを踏まえ、トラックでも使える薄底シューズかスパイクを持っておくと良いと思います。
レースに出ないにしても薄底シューズでトレーニングすることでレベルアップにつながると思うからです。
これについては「薄底シューズを履く3つのメリット!厚底にはない効果とは?」の記事でその理由を書いてますので、よろしければ参照してください。
[補足]シューズの厚さとは?
シューズの厚さはどこをどう計るかでも変わってくるため、個人的な判断は難しいです。
この記事で挙げた使用可能シューズはメーカーの発表によるもので、(ナイキを除く)メーカーは陸連に判断を委ねて発表しているものと思われます。
まとめ
世界陸連の決めた今回のルール変更は、賛否両論ありますが、(主に「否」が多いですが)決められた以上は従わざるを得ません。
トラックでも厚底シューズを履くランナーは多いですが、今後トラックレースの出場を考えている方は、薄底の勝負用シューズも用意しておくことをおすすめします。