ニューバランスのフューエルセル5280は、超軽量で薄底のカーボンプレート入りシューズです。
「5280」は、1マイルをフィートに換算すると5280フィートとなることから名付けられた名称です。
1マイルのような短い距離での高速レースを想定した、ハイレベルのランナーがハイスピードで走ることに特化したシューズです。
そんなフューエルセル5280のスペックや特徴、実際に走った感想などを解説いたします。
フューエルセル5280 重さ
26.5cmで136gと超軽量です。
ナイキで最軽量のズームストリークLT4も26.5cmで140gとかなり軽いのですが、カーボンプレートは入っていません。
フューエルセル5280はカーボンプレートが入っていながらの軽量モデルなので驚愕の軽さです。
フューエルセル5280 アッパー
アッパーはハイポニットというニットで、伸縮性があり軽量な素材です。
フューエルセル5280 ミッドソール
ミッドソールはもちろんフューエルセルです。
しかし、一言にフューエルセルといっても弾力性に違いがあります。
デイリーユース用として人気の高いプリズムなどは少し硬めで弾力性はそこそこですが、5280やRCエリートに使われているフューエルセルにはモチモチした強い弾力性があります。
フューエルセル5280 アウトソール
かかと部分はフューエルセルが剥き出しでラバーもついていないため、耐久性はなさそうです。
前足部から中足部にかけてはダイナライドというチップがついています。
これによってスパイクのようなグリップ感をもたせています。
フューエルセル5280 サイズ感
ウィズ(足幅)はDサイズ(ウィメンズはB)のみです。
そのため、少し狭く感じるかもしれませんが、アッパーは伸縮性のあるニット素材のため、問題ありません。
フューエルセルシリーズは5280に限らず、Dサイズしかないタイプが多いですが、他メーカーの2Eが狭く感じないなら問題ないという印象があります。
フューエルセル5280 レビュー
アウトソールがフラットでないため、まっすぐに立てないような不安定さがあります。
フラットに着地しようとすると、土踏まずの部分が地面に当たり、自然と前に重心を移動できるような設計がされています。
ホカオネオネのロッカー機能やアシックスのライドシリーズのライド感は後ろから前への重心移動をスムーズにする感覚ですが、それとは違い、真ん中から前、外から内です。
フューエルセル5280は中足部の外側から前足部の内側の母指球のあたりへ自然と重心が抜けるような感じがします。
画像の→の流れです。
かかとから着地してしまうとフューエルセルの柔らかさに重心をもっていかれてしまうため、かかと着地はNGです。
前足部か中足部で着地するのがおすすめです。
これだけ軽量かつ薄底のシューズなので、クッション性はないと思われがちですが、この薄さのわりにはクッション性も感じます。
ナイキのズームストリークLT4やデサントのGENTEN-ELなどの薄底シューズと比べると、かなりクッションがあります。
5280やRCエリートに使われているフューエルセルは、クッション性と反発性において、唯一ナイキのズームXに匹敵する素材だと思います。
ナイキには薄底でズームXミッドソールにしてカーボン入りシューズがないため、(スパイクにはエアズームヴィクトリーがあります)フューエルセル5280は薄底で反発感のあるシューズという分野において圧倒的と言えるシューズです。
しかし、薄さのわりにクッション性はあるとしても、フルマラソンで履くにはよほどの走力があるか体重が軽いランナーでないと難しいでしょう。
軽量なためピッチは確かに上げやすいですが、反発性も高く足への負担も高いためです。
また、後半疲れてきてかかと着地になってしまうと、このシューズの特性を生かせないばかりか、ただ不安定なシューズとなってしまうだけに、最低でもキロ4分は切って走れるスピードが必要です。
エリートランナーでは田中希実選手が3,000mの日本記録達成時に履いていたり、東京国際大の佐伯涼選手が2021年の箱根駅伝の7区区間賞を獲得した時に履いていたりしますが、フルマラソンでは着用している人すら皆無です。
フューエルセルのクッションが好みであれば、フルマラソンにはフューエルセルRCエリートV2の方がおすすめです。
フューエルセル5280はミッドソールが25mm以下のため、800m以上の公認のトラックレースにも使えます。
そのため、用途としては800m〜10,000mのトラックレースか、5kmや10kmなど比較的短めのロードレースが向いているでしょう。
なお、ダイナライドのグリップ感は、トラックよりもロードの方が生きると思いました。
まとめ
まずはスペックのまとめです。
・重さ:26.5cm136g
・アッパー:ハイポニット
・ミッドソール:フューエルセル
・アウトソール:ダイナライド
・カーボンプレート:あり
次にフューエルセル5280の特徴および向いているランナーのタイプです。
・厚底より薄底シューズが好みの人
・ピッチ走法の人
・ミッドフットまたはフォアフットで走れる人
・トラックの公認レースで使えるシューズを探している人
・シューズの軽さを重要視している人
その他のフューエルセルのランニングシューズについては「ニューバランス ランニングシューズ徹底レビュー! スペック・特徴まとめ」の記事を参照してください。