カーボンプレート入りランニングシューズ徹底比較!厚底も薄底も

ナイキの厚底シューズ規制報道で一躍話題になったカーボンプレート。

正確にはカーボンファイバープレートですが、カーボンとは炭素のことであり、ファイバーは繊維です。

カーボンファイバーとは、アクリル繊維を超高温で焼き上げて炭化させた繊維ですが、超高強度かつ超軽量なのがその特徴です。

そのカーボンファイバーを使ったプレートは、ナイキのヴェイパーフライネクスト%だけでなく、他のメーカーでも使用されています。

カーボンプレート入りのシューズを買い漁っている私が各シューズの履き心地をまとめてみましたので、以下ご紹介いたします。

ナイキ ズームXヴェイパーフライネクスト%

26.5cmで186gと、見た目の割にずいぶん軽量です。

前作であるヴェイパーフライ4%フライニット(画像下)は同じ26.5cmで182gだったので、ミッドソールの厚みが増した割に重量は増えていません。

以下、4%フライニットと比較しながらネクスト%について解説していきます。

ミッドソールがどれだけ厚くなったかは下の画像でもわかるでしょうか?

ネクスト(左)の方が4%フライニット(右)より厚みがあります。前脚部で4mm、踵で1mm厚くなりました。これにより4%フライニットでは前足部と踵部で11mmあった差がネクストでは8mmに縮まりました。

4%フライニットもヒールストライク(踵着地)走法向けではなく、ミッドフット〜フォアフットのランナーが踵を着くことで推進力を得られるためにこの差があったものと思われますが、ネクストでは差が縮まったことで、よりミッドフット〜フォアフットのランナー向けのシューズになったと言えます。

なお、この厚みはクッション性が高いながらもエネルギーリターン率も高いと言われる、ズームXフォームを増量したことによります。

ズームXは2020年2月現在、ヴェイパーフライシリーズとペガサスターボシリーズにしか入っていない、ナイキの最上位のミッドソール素材です。

ヴェイパーフライシリーズには、発泡スチロールのように柔らかいズームXフォームに挟み込まれるようにして硬いカーボンファイバープレートが入っています。

ミッドソールの間のラインのところがカーボンファイバープレートで、外から触っても硬さがわかります。

次にアッパーですが、ヴェイパーヴィーヴという新しい素材が使われています。

見た感じ、後ろが透けて見えるほどの薄さで軽いのは見た目にもわかります。ズームXの増量によりミッドソールが重くなった分、アッパーを軽くしているのです。

靴の中に入れた指が透けて見えます。

当然ですが靴下も透け透けです。

4%フライニットはややきつめの作りでしたが、フライニットが伸縮性があることで同じサイズで履けました。

ヴェイパーウィーヴはフライニットと違って伸縮性がないためワンサイズ上を購入した方が良いという意見もありますが、むしろフライニットの締め付け感もなく、足先もゆったり目に感じるため、私は同サイズをおすすめします。

左のネクストの方がむしろ緩めです。ヴェイパーウィーヴはシワが結構寄ります。

フライニットの弱点としては、水分を良く吸うことで、私も雨の東京マラソン2019ではその弱点を体感しました。

その弱点を補うことで生まれたシューズであるため、撥水性は高いです。つくばマラソン2019にて体感しました。

次にアウトソールですが、4%フライニットでは弱点とも言えた部分で、グリップが弱く雨で滑ったり、横の動きに弱いところがありました。

左はネクストです。

ネクストでは前足部と中足部に少し段差があり、前足部にも溝があることで滑りにくくなっているようです。デュオソールほどのグリップ感はないにしても4%フライニットより安定感はありそうです。

また、後足部は真ん中が窪んでいて、その両脇のピンクの部分は白いズームXの部分と違って硬い素材で出来ており、白とピンクの境目にはごく小さい突起物が何箇所かあります。

この後足部の仕様変更は、横滑り防止のためのものと思われます。

その他、シューズ内側の踵の部分ですが、ネクストにはクッション素材がついています。4%フライニットは踵が浅く、走っていて脱げそうになる感覚がありましたが、これはそれを防止するためでしょう。ホールド感がかなり高くなりました。

また、フライニットではなくなったため、シュータンが出来ました。シューレースはつま先にいくにつれて外側に斜めになっていますが、これは靴紐を強めに締めても足の甲にかかる圧力をやわらげるためです。

一番足首側のシューホールは内側・外側ともに2つずつあるので、緩ければここで調整はできます。

最後に実際に履いてみたレビューです。

ズームXフォームを4%フライニットより15%増量したというクッションの良さ。それは履いてすぐにわかるほどです。特に前足部は明らかに違います。

また、4%フライニットは履いて歩くだけでも前に押し出される感じがありましたが、ネクストにそれは感じませんでした。

オフセット(前足部と踵部の差)が3mm縮まったせいだと思います。

そして走った感触ですが、増量されたズームXの分、前に跳ねるように進む感触がありました。4%フライニットでももちろん同じような感触はありましたが、ネクストはそれを上回ります。

ただし、柔らかさは4%フライニットの方が感じます。ズームXを増量した分、ネクスト%の方が柔らかいのかと思いましたが、ズームXの密度を濃くしているようでむしろ硬く感じました。

試しに流しで比較してみました。以下、ガーミン935のランニングダイナミクスの結果です。

↑こちらはネクストです。

↑こちらは4%フライニットです。

ネクストの方が4cmストライドが長いです。たまたまということもありますが、200mほど走った上にピッチは同じくらいなので同じような走りをしていたと思います。

平均で4cmの差というのは意外と大きいです。1分間のピッチが190と仮定すると、1分で7m以上の差になるわけです。

履き心地は4%フライニットの方が柔らかくて私は好きですが、記録を狙うならネクスト%の方が良さそうです。

実際に勝田マラソン2020はネクスト%で自己ベストを1分更新しました。


ナイキ ズームフライ3

ズームフライ3は2019年7月4日、ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%と一緒に発売となったシューズです。

重量は26.5cmで256gとやや重めです。

こちらは前作のズームフライ フライニットで26.5cm239gです。

ヴェイパーフライネクスト%が4%より大きく重量が変わらなかったのに対してズームフライはずいぶんと重くなりました。

ズームフライはレーシングシューズという位置付けのシューズですが、256gはそれにしては重めです。

以下、前作との違いを中心にシューズのレビューをしていきます。

ミッドソールは前作と同じくリアクトソールでカーボンファイバープレートを挟んでいますが、シルエットはガラッと変わりました。

まずはアッパーですが、フライニットではなくなり、ネクスト%にも採用されたヴェイパーウィーヴという新素材が使われています。

フライニットより通気性が良いのに雨や汗を吸水しないというのが特徴です。フライニットが雨や汗をよく吸って重くなるという問題を解決するために開発された素材ですが、ネクスト%よりアッパーが厚めです。

これはヴェイパーウィーヴ自体の厚みではなく、ヴェイパーウィーヴの下にもう1枚インナーがあるという意味での厚さです。

ヴェイパーウィーヴ自体はネクスト%と同じくペラペラです。ズームフライ3でインナーを入れているのは重量よりも耐久性を重視したためでしょう。その分、通気性は落ちる気がします。

次にミッドソールです。

前述した通り、リアクトフォームにカーボンファイバープレートが入っている点は前作と同じですが、厚さが増しているのは画像からもよくわかると思います。

踵部で1mm、前足部で4mm厚みが増していて、フライニットでは11mmあったオフセット(前足部と踵部の差)が、8mmに縮まりました。

これによって、よりフォアフット・ミッドフット向きのシューズになったと言えます。

このオフセットの変更はヴェイパーフライ4%→ネクスト%の変更と一緒です。

厚くなった部分はフォームが増量されているのですが、ネクスト%がズームXなのに対し、ズームフライ3はリアクトで、リアクトの方が重いため重量が重くなっているのだと思われます。

アウトソールも前作から大きく変わりました。

前作(右)はほぼフラットな設計でグリップが弱く雨の日の横滑りが心配でしたが、ズームフライ3では前足部が分かれて溝ができ、踵部分も真ん中が少し凹み両脇が硬め(黒い部分)になっていて、前作のグリップの弱さは改善されたと思います。

こちらはネクスト%(右)との比較ですが、デザインこそ違えど、シルエットとコンセプトは同じようです。

それでは肝心の履き心地ですが、前作と比べると格段に上がったクッション性を立っているだけでも感じます。

オフセットが変更になった分、立っているだけで前に進ませようとするほどの傾斜は感じなくなりましたが、圧倒的に前作より強いクッション性と反発力があり、その重さを感じさせません。

そのため、自分で思っていたよりスピードは出るのですが、やはり疲れてくると重さを感じてしまいます。これは私にとってはヴェイパーフライシリーズにはなく、ズームフライにはある感覚で、その重さ故に仕方ないと思っています。

また、リアクトも柔らかさを感じますが、ネクストのズームXよりは硬さを感じます。

クッション性・反発性はともに高いため、用途としてはトラックのような柔らかい路面よりロードの方が向いています。

また、疲れてくると重さが気になるため、長距離よりスピード練習の方が向いています。

ホカオネオネ カーボンX

26.5cmで223gです。

アッパーはいたってシンプルなメッシュです。

ミッドソールはナイキを思わせるような厚底です。白と緑の境目のところにカーボンプレートが入っています。

ヴェイパーフライネクスト%(左)と比較してみます。

厚さも同じくらいですが、なんとなく形状も似ています。

ただ、違うのはドロップ差(つま先とかかとの高さの差)で、写真で見てもわかります。

これによる履き心地の違いは後述しますが、カーボンXはドロップ差が5mm、ネクスト%は8mmあります。

フラットなアウトソールです。

見た感じの通り、あまりグリップは強いタイプではありません。

前足部にある横ラインの3本の溝は中足部や後足部より大きいですが、そのラインの前後で段差があるように感じます。

中足〜後足部にある、ひし形の穴から見えるグレーのものがカーボンプレートです。

また走ってみた感触ですが、やはりホカオネオネだけにクッション性は高く、癖はありません。

ヴェイパーフライネクスト%のようにぐにゃぐにゃした柔らかさではなく、クッション性はあるのにカーボンのしっかりした硬さも感じるようなシューズです。

ネクスト%はどこか不安定な感じがありますが、カーボンXは安定性があります。

また、フォア部分は少しクッション性が低い印象があります。

ミッドフットやヒールストライク着地であればクッション性の高さを感じます。

最近、ロッカー機能を謳ったランニングシューズをよく見かけるようになりましたが、このシューズが一番それを感じます。

ロッカー機能とは、着地から蹴り出しまでをローリング運動でアシストする機能です。

ロッキングチェアのような構造で、スムーズに足が前に出て、自然な体重移動が行えるようになる機能です。

以上のことから、フォアフット走法には向かず、ミッドフット・ヒールストライク走法に向いたシューズと言えます。

それに対してネクスト%はフォアで着地しないと横ブレ感がするので、フォアフット走法に向いたシューズです。

日本人はミッドフット・ヒールストライク走法の方が圧倒的に多いので、ネクスト%よりカーボンXの方が向いている人が多いと思います。

用途としてはフルマラソンがベストでしょう。

トラックを走るにはクッションが柔らか過ぎで、ハーフ以下の距離を走るのは、なしではありませんが、スピードは出しづらいシューズです。

ハーフを超える長い距離には向いていると思いますので、ヴェイパーフライが合わないという人は是非試してみてほしいシューズです。

ホカオネオネ カーボンロケット

26.5cmで209gです。

アッパーの黒く見える部分は内側のメッシュが薄く、黄色く見える部分は厚くなっており、表面(外側)には同じメッシュが使われています。

2層構造のようになっていますが、ズームフライ3のように間が離れているわけではありません。

ミッドソールの下・アウトソールの上の部分(黄色の上)にカーボンプレートが入っています。

ミッドソールは厚底の部類に入りますが、下の2モデル(カーボンX・ネクスト%)よりは薄いです。

カーボンXとの比較です。

ナイキのヴェイパーフライネクスト%との比較です。

アウトソールはちょっとゴツゴツした見た目ですが、グリップ力は高そうです。

この濃いグレーの部分がカーボンプレートです。

厚底でクッション性が高いのがホカオネオネの共通の特徴ですが、このシューズはホカにしては薄めのため、それほどクッション性はないかなと思っていました。

また、ミッドソールとアウトソールの章にも書いたように、カーボンプレートと地面の距離が近いため、もっと硬さを感じさせるシューズだと思っていました。

と、過去形で書いたことでわかるように、意外とクッション性があり、柔らかさを感じさせるシューズです。

それでありながらカーボンの反発性もあるので、トラックでもロードでも使え、5kmからフルマラソンまでのあらゆる距離で使用できそうです。

ただ、フルマラソンで使えるかは正直ギリギリのところかもしれません。

私はこのくらいのクッションでも反発性があるので大丈夫ですが、多くの人はもう少しクッションのあるカーボンXやナイキのネクスト%の方が良いかもしれません。

しかし、このシューズはカーボン入りとしては低価格の18,000円(税別 定価)なので、それを考えるとかなりおすすめではないかと思います。

デサント GENTEN-EL

26.5cmで199gです。

デサントと言えば、スポーツ系のアパレルブランドというイメージがありますが、2019年末にランニングシューズ業界に参戦してきましたが、GENTEN-ELは最上級のエリートモデルです。

かなりシンプルなデザインです。履き口は少し広めです。

ネクスト%と比較するとわかりやすいでしょうか?

GENTENはフィット感をウリにしていますが、履き口の広さから私にはあまりフィット感は感じられませんでした。

ネクスト%は細身な上にかかと部分が尖り気味です。この点は他のナイキにも共通していますが、GENTENはかかとの部分が丸みを帯びています。

意図的に幅はやや広めかつ、かかと部分も丸めに作っていると思われますが、これは日本人の足に合わせているようです。

ナイキはそもそも細身が故に日本人に合わない場合が多いようですが、ナイキが合わない人に合う可能性は高そうです。

この作りはアシックスにも似ていると思います。

私はナイキが合っているためか、この作りはゆったり目に感じてしまいました。

薄底です。ミッドソールはナイキのファイロンに似た、軽量かつ反発性のありそうな素材に思えます。(ファイロンについてはこちらの記事を参照してください)

また、中足部から後足部が真っ平らといった感じです。

底の薄さはヴェイパーフライネクスト%と比較してみるとよくわかるかと思います。

ネクスト%の半分くらいしかありません。

また、ネクスト%はミッドソール真ん中のラインの部分にカーボンプレートが入っておりますが、GENTEN-ELはミッドソールの下のアウトソールとの間に入っています。

アウトソールには軽量かつグリップ力の強いグラフェンソールを採用しています。(黒い部分です)

拡大するとこんな感じですが、このシューズで最も良い部分はここだと私は思います。

感覚としてはデュオソール(※下の画像参照)を敷き詰めている感じで、デュオソールより耐久性も高くグリップ感も良いように思います。

デュオソール
(ナイキ ズームスピードレーサー6)

グリップがあまり強くはないネクスト%より明らかに優っているポイントです。

そしてこの部分がカーボンプレートです。

透明でガラスみたいに見え、非常に硬いです。

アウトソールとミッドソールの間に入っています。

また、サイズは26.5cmを選びました。15種類以上は所有しているナイキは全て26.5cmですが、デサントはそれより1cmくらい大きく感じます。なので25.5cmで良かったかなというところです。

ぴったりサイズであればまた違ったかもしれませんが、やはり履き口部分がナイキより大きめなところが私には気になったところです。

次に実際に走ってみた感想です。

まずはロードをジョグしてみた感じですが、これは想像通り硬さを感じます。

ミッドソールのクッションは少なめで、代わりにカーボンの硬さをダイレクトに感じます。

ジョグでさえ、「コン・コン・コーン」とイタリア製の革靴で走るかのような音が出ているように思えます。(実際にそこまで大きな音が出るわけでなく、例えです。)

アウトソールはフラットかつ、つま先とかかとのドロップも少なく、硬くてほぼ曲がらないので、ミッドフットで着地する走りが向いていると思います。

次にトラックで試してみましたが、200mを全力に近いスピードで走ってこんな↓結果でした。

ストライド1.61mはヴェイパーフライネクスト%で走った時よりも4cm長いです。

GENTEN-ELはストライドが伸びるというのをウリにしていますが、実際に自分でそれを証明できました。

ただ、計測したのは200mで、ほぼ全力で走ったため、当然フォアフットの走りです。

前述したように、本来はミッドフットで走ることがこのシューズの性能を最も引き出せると思います。

距離的には5km〜10kmくらいがベストで、長くてもハーフくらいでしょうか。

フルを走るにはクッションがなさ過ぎるため、相当の走力があるか相当体重が軽いかでないと難しいでしょう。

また、ロードよりトラックの方が向いていると思います。

前述したようにネクスト%よりストライドは伸びたわけですが、これは偶然とは思えません。

ネクスト%は独特の沈み込む感じがあり、路面の硬いロードには脚に優しいですが、トラックにそこまでのクッションは不要です。

GENTEN-ELのプレートの硬さはトラックの柔らかさとかなりマッチします。

使用シーンや使いこなせるランナーはヴェイパーフライネクスト%より圧倒的に少ないとは思いますが、カーボン入りのシューズとしては価格も安いので、薄底好きなエリートランナーには購入してほしいシューズです。