セット練習は何故有効?2日続けてポイント練習する2つのメリット
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2日続けて強度の高い練習をすることを一般的にセット練習とかセットトレーニング、またはバックトゥバック(back to back)と言います。

故障するリスクもある練習方法ですが、効率の良いトレーニングでもあります。

セット練習を行うメリットは以下の2つです。

セット練習のメリット

・単発練よりトレーニング効果が高い
・24時間後より48時間後の方が疲れが出やすい

順に解説します。

セット練習のメリット①

2日目のトレーニング時は、1日目の疲労が残っていると1日目よりスピードが出なかったり、早くバテてしまったりします。

当然パフォーマンスは落ちるわけですが、最大の練習効果が得られるのは最大のパフォーマンスを発揮することとイコールではありません。

レース中も、最初は元気だったとしても終盤は必ずバテます。

その疲れた状態を2日目は早めに作り出す効果がセット練習にはあります。

疲れている中でどれだけ動けるかという練習をすることでレース終盤に粘れる脚作りに役立つというわけです。

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セット練習のメリット②

メリットの2つ目は24時間後より48時間後の方が疲れが出やすいという点です。

このことはランニングの指導者としても運動生理学者としても他の追随を許さないジャック・ダニエルズ博士が言っています。

実際にレースの翌日は疲れがあるのに意外と走れてしまったり、逆に翌々日は筋肉痛が酷くなり走れなかったりということもあるかと思います。

そのため、1日おきに強度の高い練習をするより、2日連続でやる方がそもそも高いパフォーマンスを発揮できることもあるのです。

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セット練習のパターン

では、セット練習はどんな感じで行ったら良いかという点について、ざっくりと以下の4パターンで考えます。

セット練習のパターン

①スピード練→スタミナ練
②スタミナ練→スピード練
③スピード練→スピード練
④スタミナ練→スタミナ練

スピード練→スタミナ練

セット練習の王道です。

このパターンを思い浮かべる人が一番多いと思います。

1日目で1,000m×5本などのインターバルを行った後、2日目に30km走などのロング走を行うようなパターンです。

スピードとスタミナを効率良く鍛えられるセット練習です。

スタミナ練→スピード練

前述のケースと逆パターンです。

しかし、こちらの方が負荷が高く、故障につながる可能性があるため、故障しやすい方は要注意です。

2日目のスピード練習はインターバルのようにスピードの上げ下げをする練習より、10km程度のペース走やビルドアップ走など、やや抑えたスピードで行う練習方法がおすすめです。

また、この練習はスピード型の速筋タイプのランナーよりスタミナ型の遅筋タイプのランナーにおすすめです。

速筋タイプのランナーほど1日目の距離走のダメージが大きく、その割に疲れていてもスピードは出しやすいため、故障リスクが高くなってしまうからです。

一方、遅筋タイプのランナーは距離走のダメージが少なく、また、ダメージがあってもなくてもスピードを出しづらいというタイプの人に最もおすすめです。

スピード練→スピード練

2日連続でスピード練習をするパターンですが、一言でスピードと言っても違うスピード刺激がおすすめです。

例えばインターバルの場合でも、初日が400m×10なら2日目は1,000m×5などです。

よりおすすめなのは400mインターバル→10kmビルドアップ走など、もっと違うタイプのスピード刺激です。

スピード練習の掛け合わせのセット練習はスタミナタイプのランナーはもちろん、スピードタイプのランナーにとってはレース1週前くらいの刺激にもおすすめです。

スタミナ練→スタミナ練

例えば1日目に30km走、2日目にLSDなどの練習をする方法です。

スピードタイプでスタミナ不足のランナーに最もおすすめですが、最もダメージが残りやすい練習とも言えます。

表面的なダメージは感じなくても内臓系のダメージが残りやすいため、レースまでの時間がある時に行うのがおすすめです。

セット練習の応用編

ここまでは一般的なセット練習のパターンを紹介しましたが、ここからは応用編です。

以下の3パターンを説明します。

セット練習応用編

・レースを利用する
・1日の中でやる
・別のスポーツをする

1つ目はレースを利用するパターンです。

レースは前でも後でも大丈夫です。

特にレースを2日目に入れた場合、練習ではできないような追い込み方が可能です。

次に、1日で行うパターンです。

例えば日中に走ることができない場合、朝と夜にそれぞれ走るパターンです。

暑い時期やまとまった練習時間がとれない場合、または逆に時間のある時に昼寝を挟んで行ったりするのが有効です。

最後の3つ目は別のスポーツをすることです。

水泳・登山などは普段使わない筋肉を使いつつ心肺にも刺激が入るのでおすすめです。

普段使わない筋肉を使うと筋肉痛になりやすいので、この場合は初日にランニングをした方が良いでしょう。

セット練習のトレーニング例

以上のことを踏まえてのシリアスランナー向けのセット練習例です。

パターン1

月:休みor5〜10kmジョグ
火:休みor5〜10kmジョグ
水:10kmペース走
木:休みor5〜10kmジョグ
金:休みor5〜10kmジョグ
土:1,000m×5インターバル
日:30kmペース走

イメージ的には土日休みかつ水曜ノー残業デーのサラリーマンの通常期です。

ごく一般的なセット練習例です。

パターン2

月:休みor5〜10kmジョグ
火:休みor5〜10kmジョグ
水:1,000m×5インターバル
木:休みor5〜10kmジョグ
金:休みor5〜10kmジョグ
土:30kmペース走
日:10kmレース

日曜のレースを練習代わりにするパターンです。

前日に30km走を行うことで、翌日のレースはフルマラソンのラスト10kmのようなイメージで走れます。

パターン3

月:休みor5〜10kmジョグ
火:休みor5〜10kmジョグ
水:1,000m×5インターバル
木:400m×12インターバル
金:休みor5〜10kmジョグ
土:休みor5〜10kmジョグ
日:10kmレース

日曜のレースに向けたスピード刺激を水木で入れるパターンです。

レース直前はこういったスピード+スピードのセット練習がおすすめです。

まとめ

最も大きな効果は最もきついトレーニングではなく、最も少ないトレーニングで狙うものだとダニエルズ博士は言っています。

市民ランナーのほとんどは、時間のない中で趣味でランニングをしていることと思います。

限られた時間を有効に使うためにもセット練習を取り入れることをおすすめします。

なお、セット練習の考え方については「ダニエルズのランニングフォーミュラ」を基に自分なりの解釈を加えて解説しています。

また、ダニエルズ理論については「[ダニエルズ理論]E・M・T・I・Rの5つのペースとは?」の記事で少し触れていますので、よろしければ参照してください。