一般的に全ランナーの2%とか3%と言われているサブスリーランナーですが、どの程度の価値があり、どの程度の難易度なのかを他の距離と比較して考えてみます。
物差しに使ったのは国際陸連の発表するスコアリングテーブル(IAAF SCORING TABLES)です。
スコアリングテーブル
国際陸連(IAAF)は、陸上競技の記録を点数化したスコアリングテーブルを発表しています。
年によって修正が入るのですが、2017年のものが確認できる最新ヴァージョンでした。
詳細に興味のある方はこちらをご覧ください。
スコアリングテーブルによると、フルマラソンの3時間00分00秒は440点です。
満点は1,400点なのでかなり低いですが、市民ランナー向けの指標ではないので考えてみれば当たり前です。
では、この440点を他の種目に当てはめるとこのようになります。
30km:2時間2分31秒
ハーフ:1時間22分23秒
10km:37分17秒
5,000m:17分22秒02
1,500m:4分40秒97
1,000m:2分55秒99
400m:58秒24
200m:26秒19
100m:12秒77
30〜40代の市民ランナーなら、フルマラソンのサブスリーより1,000mのサブスリー(3分切り)の方がはるかに難しいと思いますが、学生くらいの若者だと逆なのかもしれません。
5,000mをこの記録で走れるマラソンランナーならサブスリーは楽勝だと思いますが、5,000mを専門にやる人ならこのタイムはサブスリー程度ということなのでしょうか。
距離が短いほど点数がシビアに見えるのは、世界基準的にはスタミナのある日本人だからかもしれません。
なお、現在の主要距離の男子の世界記録をスコアリングテーブルに当てはめるとこんな点数になります。
フル:1,316点 2時間1分39秒
ハーフ:1,277点 58分1秒
10,000m:1,295点 26分17秒53
5,000m:1,294点 12分37秒35
1,500m:1,302点 3分26秒00
400m:1,313点 43秒03
200m:1,351点 19秒19
100m:1,356点 9秒58
ウサイン・ボルトの100mが最高得点です。
日本記録だとこうなります。
フル:1,244点 2時間5分29秒
ハーフ:1,193点 1時間00分00秒
10,000m:1,179点 27分29秒69
5,000m:1,179点13分08秒40
1,500m:1,141点 3分37秒42
400m:1,195点 44秒78
200m:1,215点 20秒03
100m:1,217点 9秒97
大迫傑選手のフルマラソンの記録が最も高くなります。
サブスリーは本当に2〜3%?
ここからは余談ですが、冒頭にも書いたように一般的にサブスリーランナーは2〜3%と言われています。
しかし、サブスリーを達成しても上位3%以内に入れないこともよくありますので理由を考えてみました。
ガチ色の強いつくばマラソンや勝田マラソンなどはサブスリーくらいでは上位5%に入れないことも当たり前です。
では、お祭り色の強い東京マラソンで見てみます。
2019年の東京マラソンを見ると、3時間00分00秒で1,637位です。
完走者は男女合わせて35,440人なので上位4.6%です。
2019年は雨で記録の出ないコンディションであったにも関わらずです。
しかし、近年の東京マラソンには準エリート制度があって、男女各900人がこの対象者です。
制度のなかった2013年ではちょうど上位2%といったところでした。
つまり、完全にお祭りムードなフルマラソンであれば上位2〜3%であるとも言えます。
しかし、3時間ちょうどのレベルでは、なかなか3%に入れるレースは少ないように思います。
なぜなら最初の前提として「サブスリーランナーは全ランナーの2〜3%」と「出走者の上位2〜3%がサブスリーランナー」はイコールではないからです。
例えば300人のサブスリーランナーと9,700人のオーバースリーランナーがいたとします。
300人のサブスリーランナーは年間3本のレースを走ります。
9,700人のオーバースリーランナーは年間2本しか走りません。
実際の人数では3%がサブスリーランナーですが、延べ人数で言うと20,300人のうちの900人がサブスリーランナーということになります。
割合としては4.4%です。
上級者ほど多くのレースを走る傾向があるので、こういう結果になると言えます
サブスリーランナーが全ランナーのどのくらいいるのか正確に調べる手段はありません。
フルマラソンを走ったことはあるけどもうほとんど走ってない人や、ジョギングはするけどレースには出ない人などもランナーに含めるのかどうか定義が難しい部分があるからです。
なのでサブスリーを達成したら堂々と言ってしまえば良いのです。
「ランナーの上位3%に入りました」と。
なお、サブスリー達成にはどのくらい走ったらいいのかという議論もよくされますが、この点について「サブスリー達成に必要な月間走行距離はどのくらい?」の記事で考えを述べてますので、よろしければ参照してください。