ATペース走・LTペース走・閾値走という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。
それぞれがどう違うかという点ですが、結論から言うと内容的には同じです。
AT・LT・閾値とは?
では、それぞれの言葉の意味するところを説明します。
anaerobic thresholdの略
意味:無酸素性作業閾値
lactate thresholdの略
意味:乳酸性作業閾値
読み方は「いきち」または「しきいち」
意味:数値的な境目・境界線
日本語に直しても難解です。
これらがほぼ同じことを指すと考えると、「無酸素と乳酸に関する境界線」のトレーニングがATペース走・LTペース走・閾値走を意味することは理解できるかと思います。
順に説明していきます。
無酸素運動とは?
走る時のエネルギーは糖(グリコーゲン)と脂肪です。
糖の特徴はエネルギー化しやすいが枯渇もしやすいことです。
反対に脂肪はエネルギー化しづらいが枯渇しづらいという特徴があります。
糖や脂肪を燃焼させるためには通常は酸素が必要です。
しかし、走るペースが速くなると酸素の供給が追いつかなくなるため、無酸素でエネルギーを作り出します。
これが無酸素運動です。
反対に酸素を取り込みながら脂肪や糖をエネルギーとするのが有酸素運動です。
乳酸とは?
乳酸=疲労物質と考えられていましたが、本当はそうではありません。
無酸素でエネルギーを作ると、その代謝産物として乳酸ができます。
速くなればなるほど乳酸は多くなります。
しかし、乳酸はいつまでも身体の中にとどまるわけではなく、30分もすれば消えてしまいます。
つまり、疲労を感じさせる要因が乳酸にあるわけではないということです。
それどころか乳酸はエネルギーとして再利用することが可能です。
この再エネルギー化に着目したのがカツサプというサプリなのですが、それについては「カツサプ使用レビュー!その効果とおすすめの摂取方法とは?」の記事で説明していますので興味ある方はご覧ください。
閾値を知る方法
では、自分の閾値を知るにはどうしたらいいかという点ですが、一般のランナーは気軽に計測することはできません。
↓のような装置を使ってランニングマシンで走って計測する必要があります。
しかし、だいたいの値を推測することは可能です。
決して楽ではないものの、無理なくしばらく走り続けられるペースです。
心拍数で言うならば、最大心拍数の88〜90%のペースと思ってください。(最大心拍数を知る方法は[練習メニューの組み立て方]速度でなく強度で考える方法とは?の記事を参照してください)
具体的には練習で20〜30分続けて走れるペースです。
ピーキングをして出たレースであれば、60分程度走れるペースです。(以下、これをATペースと呼びます)
もちろん個人差はありますが、上級者ほど長い距離を走れるペースです。
ペースを維持するのはギリギリだけれど簡単に落ちはしないペース、これがATペースです。
ATペースを上げるには?
では、ATペースを上げるにはどうしたらいいかという点ですが、これは以下の3つを挙げておきます。
・ATペース走
・IペースやRペーストレーニングを行う
・複数の練習の組合せ
ATペースを上げるには、普段からATペース走を週1程度行うことです。
その上でI(インターバル )ペースやR(レペティション)ペースなどの、よりスピードの速い練習も取り入れることで乳酸耐性をつけることです。
また、速いペースだけでなくマラソンペースやジョグも行うことで距離の耐性も作ることです。
要するにあらゆる刺激を身体に入れる必要があるということです。
まとめ
ATもLTも閾値も似たような意味を表します。
マラソンを速く走るためにはATペースを上げる必要があり、そのためにはあらゆる練習をこなすことが必要になります。
自分のATペースがわからないという人は、それを知ることで適正ペースを知ることができ、ペース走でATペースを向上させることでタイムも向上するので、意識して練習をすることをおすすめします。
また、AT値とよく引き合いにされる重要な指標「VO2MAX」については「VO2MAX(最大酸素摂取量)とは?VO2MAXを調べる3つの方法」にて説明していますのでよろしければ参照してください。