スポーツドリンクにはハイポトニック飲料とアイソトニック飲料があります。
それぞれ名称は聞いたことのある人は多いと思いますが、その違いや具体的にどのドリンクがどちらに該当するか知らない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回はそれらについて解説いたします。
アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の違い
まず、その違いは浸透圧にあります。
アイソトニック飲料は体液と同じ浸透圧の濃度であるのに対し、ハイポトニック飲料は体液より低いというのが特徴です。
濃度の薄い液と濃い液がある場合、薄い液が濃い液に流れ込みます。
この時に生じる圧力が浸透圧で、この濃度差が大きければ大きいほど浸透圧は高くなります。
では、どこを見ればこれがわかるかというと、炭水化物と食塩相当量です。
体液に含まれる塩分は0.1~0.2%、糖質が4~6%です。
通常、スポーツドリンクの成分表示には、100mlあたりの食塩相当量と炭水化物が記載されています。
これをgにすると食塩相当量0.1~0.2g、炭水化物4~6gの範囲内がアイソトニック飲料、それ以下がハイポトニックと飲料となります。
アイソトニック飲料とハイポトニック飲料はどちらがいい?
では、次の問題としてアイソトニック飲料とハイポトニック飲料はどちらがいいのかという点ですが、これは飲むタイミングによります。
結論から言うと、運動の前後はアイソトニック、運動中または運動直後はハイポトニックです。
まず前提として、体液と同じ濃度の方が吸収は良くなります。
安静時であればアイソトニック飲料の方が良く吸収されます。
しかし、運動中は発汗によって体液が薄まるため、アイソトニック飲料の濃度の方が体液より濃くなる可能性が高くなります。
そのため少し濃度の低いハイポトニック飲料の方が運動中は良いとされます。
どちらが良いかという問題ではなく、飲むタイミングによって飲むスポーツドリンクを変えることがベストな選択肢なのです。
では、具体的にどのスポーツドリンクがどちらに該当するのかを100mlあたりの食塩相当量と炭水化物とともに見ていきましょう。
アイソトニック飲料 一覧
まずはアクエリアスです。
100mlあたりの食塩相当量は0.1g、炭水化物は4.7gです。
今では環境にやさしいラベルレスなアクエリアスが販売されています。
こちらもおなじみポカリスエットです。
100mlあたりの食塩相当量は0.12g、炭水化物は6.2gです。
アクエリアスより甘めだと言われることの多いポカリスエットですが、炭水化物の量が多めなことがそれを証明しています。
グリーンダ・カ・ラは鉄分を追加するというリニューアルが2020年にありました。
100mlあたりの食塩相当量は0.1g、炭水化物は4.5gで、鉄分は0.51mgです。
ビタミンも補給したいならビタミンウォーターがおすすめです。
100mlあたりの食塩相当量は0.1g、炭水化物は4.2gで、ビタミンCは200mg含まれます。
ハイポトニック飲料 一覧
スポーツドリンクで最も高価と言えるのがアミノバリューです。
100mlあたりの食塩相当量は0.12g、炭水化物は3.6gです。
アミノ酸を多く含むのが特徴で、BCAAを800mg(100mlあたり)も含みます。
BCAAについては「アミノ酸とプロテインの違いとは?」の記事内で詳しく説明しています。
こちらもアミノ酸をウリにするアミノバイタルGOLDです。
100mlあたりの食塩相当量は0.1g、炭水化物は2.8gです。
アミノバリューほどではありませんが、BCAAを228g含むのが特徴です。
ヴァームウォーターはスズメバチアミノ酸V.A.A.M.を配合し、運動で体脂肪を燃やすというコンセプトで作られています。
100mlあたりの食塩相当量は0.1g、炭水化物は0.74gです。
炭水化物量が少なくカロリーゼロです。
個人的にはクリアアップル味が美味しいのでおすすめです。
普通のアクエリアスはアイソトニック飲料ですが、アクエリアスゼロはハイポトニック飲料です。
100mlあたりの食塩相当量は0.1g、炭水化物は0.7gです。
こちらも普通のポカリスエットはアイソトニック飲料ですが、ポカリスエット イオンウォーターはハイポトニック飲料です。
100mlあたりの食塩相当量は0.1g、炭水化物は2.7gです。
キリン ラブズスポーツはあまり有名ではありませんが、私は最も味が好きなスポーツドリンクです。
100mlあたりの食塩相当量は0.13g、炭水化物は3.4gです。
アサヒスーパーH2Oは後味クリアで600mlの大容量が魅力です。
100mlあたりの食塩相当量は0.1g、炭水化物は2.9gです
【補足】ハイパートニック飲料
体液より浸透圧が低いのがハイポトニック飲料、同じなのがアイソトニック飲料という話をしてきましたが、体液より浸透圧が高い飲料のことをハイパートニック飲料と言います。
栄養ドリンクとかエナジードリンクなどはハイパートニック飲料に含まれるかもしれませんが、スポーツドリンクというカテゴリーとしてはハイパートニック飲料はおそらく存在しません。
【補足】経口補水液
脱水状態には経口補水液がよいという意見もしばしば聞かれるかと思います。
経口補水液は、塩分濃度が高く糖質が低いのが特徴で、大量に汗をかいた運動の後に飲むのが一番効果的です。
経口補水液として最も有名なのがOS-1でしょう。
100mlあたりの食塩相当量は0.292g、炭水化物は2.5gです。
私はレース前のウォーターローディングとしてもOS-1を使用しています。
【補足】水しか飲まない場合
フルマラソンのレース中でも、スポーツドリンクが苦手で水しか飲まないという人もいます。
しかし、大量に汗をかきながら水しか飲まなかった場合、飲めば飲むほど脱水してしまうというリスクも生じます。
その流れは以下の通りです。
まず、汗によってナトリウムが排出されます。
しかし、水しか飲まなかった場合はナトリウムが補給できません。
すると体内のナトリウム濃度が下がります。
身体はナトリウム濃度を一定に保とうとする機能があるため、水を出そうとしてまた汗をかきます。
そこでまた水しか補給をしないと、その繰り返しになります。
そうすると、水を飲めば飲むほど脱水するという症状が起こりうるのです。
まとめ
これまでなんとなくスポーツドリンクを選んでいた人も多いかと思います。
冬場のあまり汗をかかない時期や時間短めのスピード練習であればそこまで意識する必要はないかもしれませんが、暑い時期の練習には意識して使い分けることがおすすめです。
アイソトニック飲料:練習前・練習後
ハイポトニック飲料:練習中・練習直後
なお、運動中や運動前後は水よりスポーツドリンクの方がメリットが大きいのは述べたとおりですが、平常時に水を摂る場合、硬水と軟水のどちらがいいのかという点もまとめています。
詳しくは「[硬水と軟水]ランナーの水分補給におすすめなのは?」の記事を参照してください。