
ヴェイパーフライ4%フライニットが雨に弱いということは世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ選手も指摘していました。
その点を改良することでヴェイパーフライネクスト%が生まれました。
奇しくも2019年のフルマラソンでは雨の中でヴェイパーフライ4%フライニットとヴェイパーフライネクスト%を使ったので、それぞれどう違ったのかレビューしたいと思います。
ヴェイパーフライ4%フライニット
対象レースは東京マラソン2019です。
朝から降り続く雨で気温も5℃前後と非常に低く、寒いレースとなりました。
アッパーは通気性の良いフライニットですが、撥水性はほとんどなく、水分をよく吸収してしまう感じがします。
序盤からかなりの雨を吸ってしまい、アッパーから冷たさを感じました。
このシューズに限りませんが、通気性の良いシューズほど水分の吸収性も高いように思います。
フライニットが主流になる前はエンジニアードメッシュが一般的でしたが、エンジニアードメッシュよりフライニットは通気性が良いぶん、吸収性も増したように思います。
雨を吸収することでシューズの重量が増しますが、それによってシューズが脱げそうになる感覚がありました。
実際に脱げることはないのですが、ヒールが浅くホールド感が少ないため、ちょっと踵が浮いてしまう感じがしました。
また、もう一つの問題点はアウトソールです。
ヴェイパーフライ4%のアウトソールはフラットでグリップがよくありません。
普通にまっすぐ走るぶんには雨でも滑ることはありません。
しかし、折り返し地点などの急カーブでは不安定です。
品川の折り返し地点ではトップ選手がヴェイパーフライで滑っているシーンをテレビでも見ました。
以上のことを考えると、ヴェイパーフライ4%は雨のレースには向かないと言えます。
ヴェイパーフライ4%フライニットについて、より詳しくは「ナイキ ヴェイパーフライ4%フライニット徹底レビュー」の記事を参照してください。
ヴェイパーフライネクスト%
対象レースはつくばマラソンです。
こちらは東京の時と違って気温は高かったものの、前日からかなりの雨量で水溜まりが多く、路面状況はむしろ東京よりよくありませんでした。
ヴェイパーフライネクスト%はアッパーにヴェイパーヴィーヴという撥水性の高い素材を使用しています。
とはいえ、防水というわけではないため、シューズの中に水は入ってきます。
ただ、アッパーからはあまり入ってこず、足首周りから入ってくる確率が多かったように思います。
実際、走り終えてシューズの中はびちゃびちゃになりましたが、足の甲の部分はそこまで濡れませんでした。
真冬であれば、足の甲が濡れてしまうと末端冷え症の私には厳しいので、この差は大きいのです。
また、アウトソールも改善されたためか滑ることはありませんでした。
それほどグリップの良いシューズではありませんが、前足部の溝のおかげで雨でも滑らないような仕様になりました。
以上のことを考えると、雨のレースでは圧倒的に4%よりネクスト%の方が良いと言えます。
ヴェイパーフライネクスト%について、より詳しくは「ナイキヴェイパーフライネクスト%徹底レビュー」の記事を参照してください。
[補足]雨で最強なシューズは?
ヴェイパーフライネクスト%は雨にも強いシューズですが、当然ながらその最大のパフォーマンスを発揮できるのは雨の降っていない乾いた路面です。
では、雨で最大限のパフォーマンスを発揮できるシューズをご紹介します。
それはペガサスターボシールドウォータープルーフです。

通常、このタイプのシューズは防水に特化しているため重量がありますが、このシューズは26.5cmで243gと、普通のランニングシューズ並みの重さです。
さらにミッドソールはペガサスターボと同じくズームXです。
ミドルカットのため足首周りは若干気になりますが、クッション性や反発性はペガサスターボと同じです。
通気性が悪いのは仕方ないところですが、防水性に関しては完璧です。
これらを踏まえると、雨の強い真冬のレースであればヴェイパーフライより向いていると言えます。
雨の日の移動用シューズとしてもかなり使えるので、1足持っていると重宝します。
このシューズについて、より詳しくは「ナイキズームペガサスターボシールドウォータープルーフ レビュー」の記事を参照してください。
まとめ
ヴェイパーフライ4%は雨に非常に弱いシューズでしたが、ネクスト%になって大きく改善されました。
ヴェイパーウィーヴの雨耐性についての実験は「ナイキの新アッパー「ヴェイパーウィーヴ」は水を通さない?」の記事で詳細を書いていますので、興味ある方はお読みください。