
ナイキのランニングシューズと言えば、かつてはエアマックス・フリー・ルナ・ズームの4系統でしたが、リアクトシリーズはここに新しく2018年4月より加わったシリーズです。
今はルナシリーズはなくなり、エアマックスはランニングシューズのカテゴリーから外され、新たにジョイライドシリーズができたたため、ズーム・フリー・リアクト・ジョイライドの4系統です。
「リアクト」とは、ミッドソールの素材の名称であり、ナイキランニングシューズの主流系統であるズームランニングシューズにも数多く使われている素材です。
エピックリアクトフライニット2

エピックリアクトフライニット2は26.5cmで222gです。

アッパーはもちろんフライニットですが、割と編み目のしっかりしているフライニットです。
ナイキのフライニットというと、靴下が透けて見えるほどの荒い編み目の印象がありますが、このフライニットはエンジニアードメッシュにも見えます。

商品名からも明らかなように、ミッドソールにはリアクトフォームが使われています。
リアクトはポリウレタン系のミッドソールです。
ポリウレタンはゴムのように柔らかく弾力性があるプラスティック素材です。
リアクトフォーム(白いところ)を押してみると、その柔らかさはよくわかります。
ぐにゃぐにゃした感じがあります。

アウトソールはこんな感じなのでグリップが弱く、雨の日には向きません。
また、摩耗が激しく、200kmも走らないうちに溝がなくなってきます。
つま先とかかとにはリアクトを守るようにラバーがついていますが、このラバー自体も摩耗が早いです。

サイズ感としてはややきつめに感じるかもしれません。
ワンサイズ上をナイキの公式サイトでもおすすめされていますが、私は同じサイズを履いています。
シュータンまで伸縮性のあるフライニットなので、むしろぴったりサイズの方が履き心地が良いからです。
また、足首部分も柔らかくてフィット感がいいので、私は素足で履いたりします。
このシューズのコンセプトは「ふわ・かる・びよーん」です。
しかし、私の感覚は「ふわ・ぐにゃ・びよん」です。
「ふわ」については大した意味はないですが、なんとなくわかります。
しかし、「かる」という点は全くわかりません。
リアクトはズームXに慣れてしまった自分としては、「かる」より「おもっ」です。
そしてリアクト独特の沈み込むクッショニングは「ぐにゃ」というのが一番しっくりきます。
また、「びよーん」はある程度のスピードを出さないとわからない上、スピードを出し過ぎるとクッションが勝ってしまう気がします。
そのため、「びよーん」とは伸びず、「びよん」という程度です。
「ふわ・かる・びよーん」という感覚は、リアクトよりもヴェイパーフライに使われるズームXの方が近いのではないかと思います。
また、真ん中から踵での着地にはクッショニングの高さが感じられますが、前足部分はさほど感じられないという印象です。
オデッセイリアクト

こちらは初代のオデッセイリアクトで、26.5cm225gです。
履いた感触としては、エピックリアクトフライニット2や、この後に発売されるオデッセイリアクト2フライニットとクッショニングはほぼ同じです。
違うのはアッパー部分です。
この初代オデッセイリアクトはジャガードメッシュアッパーという独自のアッパーを採用しています。
フライニットの方が軽量で通気性は良いのでしょうが、冬に履くと寒さを感じます。
そのため、フライニットほどの通気性はないものの柔らかさのあるジャガードメッシュアッパーが私は好きでした。
2になってフライニット化されるため、このアッパーはなくなります。
シューズの履き心地としては、前章のエピックリアクトフライニット2とほぼ変わらないという印象です。
オデッセイリアクト2フライニット

オデッセイリアクト2フライニットは26.5cmで229gです。
初代オデッセイリアクトより若干重くなりました。
オデッセイリアクト2フライニットは、前作のオデッセイリアクトからアッパーをフライニットにしたヴァージョンです。

左が2、右が前作です。前作は履き込んでいるので汚れが目立ちますが、ミッドソールは変更がなさそうです。

アウトソールも同様に変更はなさそうです。前作は300kmも走っていないのですが、ラバー部分(黒いところ)が結構擦り減ってます。
逆にリアクトフォーム(白いところ)は汚れが目立つものの摩耗が少なく、クッション性もそれほど落ちていないように思います。

前作のオデッセイリアクト(右)は、ジャガードメッシュアッパーというアッパーを採用しており、アッパーがフライニットであるエピックリアクトと差別化されていました。

拡大して見るとこんな感じです。このアッパーがオデッセイリアクトの特徴でもあると思ってましたが、他のモデルでも多く使われているフライニットにされてしまったため、エピックリアクトとの違いが薄まりました。

次にエピックリアクトとの比較です。
左がオデッセイリアクト2フライニット、右がエピックリアクトフライニット2です。
ちなみにオデッセイは「2フライニット」でエピックは「フライニット2」です。
エピックは前作もフライニットだったのに対し、オデッセイは前作が非フライニットだったからです。

ミッドソールはデザインが違いますが、厚みは同じようです。

アウトソールはラバーの面積が異なります。
オデッセイリアクトの方がラバー部分が大きいため耐久性が高いという触れ込みでしたが、ラバー自体は摩耗が激しく、その分リアクトソールを守っています。

アッパーはどちらもフライニットですが、全面フライニットであるエピックに対して、オデッセイは前〜真ん中くらいまでがフライニットです。
スタビリティー(安定性)のオデッセイ、クッションのエピックという評価がありますが、クッショニングに関してはどちらも同じように思えます。
アッパーや足首回りがやや固く安定性のあるオデッセイと、柔らかみのあるエピックという感じです。
初代のオデッセイリアクトと異なるのはアッパーの感触と足首回りの感触です。
初代よりアッパーは柔らかく、足首回りは固いです。
履き心地に関してはエピックリアクトフライニット2と同じく「ふわ・ぐにゃ・びよん」という感じです。
リアクト インフィニティ ラン フライニット
怪我ゼロを目指すというコンセプトシューズとして発売されました。
リアクトインフィニティラン フライニットは、オデッセイリアクト2フライニットとエピックリアクト フライニット2それぞれの後継モデルとして、リアクト3代目という位置づけのようです。

重さは26.5cmで263gとだいぶ重くなりました。

メッシュのようにも見えるアッパーですが、フライニットを3層に重ねた構造で、汗や雨を吸収しやすいというフライニットの欠点を補ったようです。
白いシューズですが、薄っすらピンクがかっているのがおしゃれなところで、これは中の層のフライニットの色が透けて見えているものと思われます。
3層にすることで汗や雨を吸収しやすい欠点を補ったとのことで、少し撥水性があります。
ただし、その分通気性は落ちていますので、暑い時期には熱がこもりそうです。
また、フライニットは伸縮性があるのが特徴ですが、3層になっているせいか、インフィニティランのフライニットには伸縮性があまりないです。

ミッドソール素材はもちろんリアクトです。
ズームエアは入っていません。
エピックリアクトより24%リアクトフォームを増量したとのことで、やはり厚底です。

左がオデッセイリアクト2フライニット、真ん中がエピックリアクトフライニット2、右がリアクトインフィニティランです。
これだけ見るとミッドソールの厚み自体はあまり変わらなそうです。
しかし、横幅は広がった感があります。
インソールよりはみ出るようにミッドソールがあり、これが横ブレを防止しているようです。
また、つま先部分とかかと部分がせり上がり、ロッキングチェアのような構造になっています。

アウトソールは、黒い部分は硬く、白い部分はリアクトフォームで柔らかく、リアクト部分が溝になっているようでグリップはなかなかあります。

左がオデッセイリアクト2フライニット、真ん中がエピックリアクトフライニット2、右がリアクトインフィニティランです。
真ん中のエピックリアクトはリアクトフォーム剥き出しの部分(白いところ)が多いため、最も耐久性がなさそうです。
走行距離は100kmにも満たないくらいなのですが、中前部の外側が擦れてきています。
リアクトフォームは、ミッドソールのクッション自体の耐久性は高いので、ちょっともったいないところです。
それに比べると左のオデッセイリアクトは、走行距離は同程度ながら擦り減りが少ないです。
これはリアクト剥き出し部分が少ないからだと思いますが、リアクトインフィニティランはもっと少ないので耐久性はさらに高そうです。
また、アウトソールの形状は独特ですが、溝がたくさんあるためか、この中では一番グリップ感を感じられます。
とはいえ、そこまでグリップの良いシューズとは言えません。
サイズ感も他のナイキのシューズと同様で、26.5cmでぴったりです。(ナイキは全て26.5cmを着用しています。)
ただし、アーチが高くなっているのか土踏まずのあたりを押し上げてくれるような感じがするので、扁平足の人はややきつく感じる人かもしれません。
また、シューズの横幅は広くなっていますが、広くなったのはミッドソール部分で、インソールは変わらなそうです。
足を入れてみた感じですが、非常にフィット感が良いです。足首周りもしっかりホールドされてブレません。
しかし、かかとのところが硬いため、ショート丈のソックスだと、かかとが当たる感じがします。
そして実際に走ってみた感じですが、意外にもオデッセイリアクトやエピックリアクトほどグニャっと沈み込む感じがありません。
そのオデッセイとエピックは、リアクト特有の沈み込む感じが強いシューズでした。
クッションは良いものの、コンセプトである「ふわ・かる・びよーん」のびよーんの部分を感じるにはある程度の速さが必要でした。
インフィニティランではそれらよりリアクトを24%増量しているため、おそらくこの沈み込みの感じがより強いのだろうと考えていましたが、そうではありませんでした。
厚さ自体はあまり変わらなそうです。
横に広がったというのもありますが、リアクトの密度が高くなったのではないかと思います。
そのおかげでクッションはしっかりありながらもしっかり反発力もあり、自然と前に進む力も与えてくれます。
また、ミッドソールの横幅が広いためか横ブレしにくく、急カーブを曲がる場合もスムーズです。
用途としてはジョグが中心ですが、デザインも良いため普段履きにも良いです。
中上級者には、スピード練習やレースに使うのは難しそうですが、初心者にはこれ1足あれば何にでも使えるようなシューズに思えます。
なお、もともと怪我をしづらい私にとって、このシューズで本当に怪我しないかどうかはよくわかりません。
リアクト インフィニティ ラン フライニット2
リアクトシリーズ4代目となるリアクト インフィニティ ラン フライニット2が2021年1月に発売されました。
前作からはマイナーチェンジです。

26.5cmで274gと前作より11g重くなりました。

シューズの名称にも使われているようにフライニットのアッパーです。
しかし、伸縮性はあまりなく、見た目も感触もエンジニアードメッシュと似ています。

前作のリアクトインフィニティランフライニット(右)と比較してみます。

つま先部分だけ拡大してみるとわかるかもしれませんが、デザインは変わっています。
前作も3層に重ねられたフライニットのアッパーにより伸縮性がありませんでした。
比較すると2の方が内側に硬さを感じます。

前作(右)と比較してみても、素材・厚さとも全く変更はなさそうです。
リアクトインフィニティランシリーズのミッドソールの特徴は、インソールからはみ出るように横幅が広いところです。
これが横ブレ防止につながっているようです。
また、つま先とかかとがせり上がり、ロッキングチェアのような構造になっています。

アウトソールの黒い部分は硬く、白い部分はリアクトフォームのため、柔らかいです。
リアクト部分が溝になっているようでグリップはなかなかあります。
とはいえ、速く走るためのグリップ力というわけではなく、滑らないためのグリップという感じです。

この点においても前作(右)と変更がありません。
リアクトフォームの剥き出し部分が多かったエピックリアクトは摩耗が激しかったのですが、黒い部分の多いリアクトインフィニティはやはり耐久性が高そうです。
次にシュータン比較です。
アッパーは伸縮性があまりないと前述しましたが、シュータンは伸縮性が高いです。
ここは前作と比べても大きく変わっています。
前作はアッパーと完全一体型でしたが、インフィニティラン2になって半独立型になりました。
前の半分は一体型ですが、甲に近い部分は独立していて、厚みもあって柔らかく感じます。

こちらは完全一体型の初代リアクトインフィニティランです。

こちらはリアクトインフィニティラン2です。
甲に近い部分は厚みがあって動かせるタイプです。
この変更が重量に表れています。

後ろから比較するとこんな感じです。
シュータンの厚さの違いがわかるでしょうか?

また、履き口周りの厚みが前作より増していて、足への当たりが柔らかく感じます。
サイズ感的には他のナイキのシューズと同じ程度です。
ただし、土踏まずのあたりを押し上げてくれるような感じがあり、扁平足の人はきつく感じるかもしれません。
足を入れてみるとフィット感の良さがわかります。
前作はかかと部が硬いため、ショート丈のソックスだとかかとが当たる感じがするのが嫌だったのですが、インフィニティラン2は足首周りの当たりが柔らかくなったため、包み込まれる感じがあります。
そして実際に走ってみた感じはミッドソールとアウトソールに変更がないため当たり前ですが、前作とほぼ同じです。
「意外と反発感もある」というのが初代インフィニティランの感想でした。
リアクトインフィニティランはオデッセイリアクト・エピックリアクトに次ぐ3代目のリアクトシューズで、リアクトインフィニティラン2は4代目のシューズと言えます。
オデッセイリアクトやエピックリアクトはリアクト特有のグニャっと沈み込む感覚が強いシューズでしたが、インフィニティランにはそれがありません。
インフィニティランではリアクトフォームがオデッセイやエピックより24%もリアクトを増量しているため、より沈み込む感覚が強くなると勘違いしていましたが、そうではありませんでした。
リアクトの増量は、ミッドソールの幅が広がったこともあると思いますが、おそらく密度も濃くなっているのではないかと思います。
そのおかげかクッションはありながらもしっかり反発性もあり、ロッキングチェアのような構造もあって自然と前に進む力を与えてくれます。
また、ミッドソールの横幅が広いため横ブレしにくく、急カーブを曲がる際もスムーズです。
重さがあるのでスピード練習やレースには使えませんが、ジョグ用には文句ないシューズです。
前作と比べると、履き口が柔らかく感じる分、私にとっては2の方が良いです。
しかし、その分だけ重くなっているため、重さを気にする人には前作の方が良いかもしれません。
また、個人的な好き嫌いですが、前作の方がデザイン的には好きでした。
まとめ
ナイキのリアクトシリーズのオデッセイとエピックは違いが少なく、またシリアスランナー用のズームランニングシューズと違ってどこかパッとしない感じがありました。
シリーズ2作目はオデッセイがフライニット化し、1作目からフライニットだったエピックと、より違いが薄れました。
しかし、3代目のリアクトインフィニティによってガラっとイメージの変わるシューズになったと思います。
ズームランニングシューズでは実現できないコンセプトシューズとして、進化したと言えます。
しかし、やはりナイキの本格的なランニングシューズは「ズーム」シリーズです。
ズームランニングシューズについては「ナイキズームランニングシューズ徹底レビュー!最新モデルを随時更新」の記事でまとめておりますのでよろしければ参考にしてください。